【宮台】専門外のことに専門家づらする理由は?


昔から不思議だったのだが、社会学は文系学問の全てを網羅する文系の王様なのだろうか。
2000年代初頭に「ゾンビ企業にカネが流れているから日本経済はダメなんだ」とか鳩山政権発足時には「四の五の言わずにCO2の25%削減をやれ」とか、そもそもゆとり教育の旗振り役だったりして、その発言内容の適格性に疑問を持たざるを得ない宮台が、何故か今度は金融政策の専門家づらをして発言をしているのだが、どういった理論に基づいているのか明らかにしてもらいたいもんである。
この宮台の発言は聞いていると何を言っているのか全然わからない支離滅裂なものだ。
まず、「インフレ目標は金融引き締め政策である。」と言って、言いっ放しで終わり。「だから何が日本にとって問題なのか?」と思いながら聞いていると何も無い。
この発言には2つの問題点があって、まずインフレ目標が金融引き締め政策であるという定義づけが間違っている。次に「だから何が問題なのか」を示さずに言葉を濁している。つまり、単にネガティブな印象付けをするためにネガティブな言葉を並べて、事情に疎いリスナーを「アンチ金融緩和派」に動員しようとしている。平たく言えばプロパガンダ
続く発言で問題になるのは、金融政策の話をいつの間にか財政政策の話にすり替えている点。これまた事情に疎いリスナーに向かって、金融政策と財政政策を意図的に混同させて話している。
「経済が冷え込んでいる段階では銀行からの貸出は増えない。」という発言そのものは正しいのだが、宮台の言っていることは所謂「ブタ積み論」というもので、「金融緩和しても資金需要がないからカネが世の中に出まわらない。よってリフレ政策は無効。」というものだ。
が、この主張に対してわきまえなくてはならない点が2つある。
一つ目は「リフレ政策はそういうものではない。」という点である。
「ブタ積み論」は典型的な藁人形論法であって、相手が言ってもいないことを言っていることにして叩く手法である。
何度でも強調されなくてはならないのは、「金融緩和の重要性は人々の予想を変えることであり、『人々』とは金融市場や為替市場で専門的に取引する人々のことであって、一般企業や一般国民のことではない。」ということだ。宮台の発言を聞いている限り、宮台はそのようなことをわかっていない。
先だって日銀が中途半端な「インフレ目処」を発表したが、その途端に円安と株高になり、今もその傾向がある点について考えてみよう。*1一般企業や一般国民が、日銀のわけのわからん発表に反応して即座に経済活動を始めた結果だと思いますか?そんな筈がない。専門的に活動している人々が、日銀の発表の意味を理解して先回りして動いているのだ。
金融政策によって一般企業がいきなりカネを借り始めるなどといった非現実的なことをリフレ派が言っているわけがないのである。
二つ目はリフレ派の主張とは違うが、「金融緩和すると銀行がカネを貸し始めると日銀が想定している。」という点である。
日銀は従来「ブタ積み論」派であった筈なのに、先日の中途半端な「インフレ目処」発表とともに宗旨変えしたらしい。天下の毎日新聞がそのように報じていたのだから確かである。日銀はいつ方針転換をしたのか? - Maddercloud
宮台はどうもリフレ理論を知らないだけでなく、日銀様の意向も知らずに金融政策の専門家づらをして発言しているようである。

*1:3月18日の時点でドルは83円、株価は10129円