日銀無限借り換えとリフレ理論

マイナス金利を日本に紹介している論者にリフレ派は批判を浴びています。「リフレ派」と名指しで、具体的な理由と根拠でもって批判されています。
在野リフレ派がマイナス金利をむやみに否定するのも、そこが理由でしょう。ただ、在野リフレ派のマイナス金利「批判」は理由や根拠が伴わない、遠巻きにして石を投げるような漫然とした悪口にとどまっているのが分の悪いところ。
私はリフレーション政策を支持していますが、在野リフレ派の上記のような態度は全然支持しません。
この件に限らず、在野リフレ派の主張には理論がなく、結論をただ述べるだけなので、経済学の素養がある人にほど疑いを持たれるのだろうと思います。

限借り換えはリフレ理論と矛盾しないのか。

在野リフレ派は軽薄な人が多いので、都合の良い思いつきがあるとどんどん口にしてしまいます。
理論を考えないので、一連の発言に矛盾があるかどうか点検しないで喋ってしまいます。
それが問題になりにくいのは、経済政策や理論に関心を持つ人が社会には少ないのと、リフレ支持者層はとにかく支持してくれるからです。
マイナス金利論者がリフレーション政策に対して批判しているひとつは、「マネタリーベースを増やして予想インフレ率や実際のインフレ率が上がるという関係は堅固ではない」というものです。
現実問題として、事前の予想を遥かに上回るマネタリーベースを積み上げているにも関わらず、3年たってもインフレ目標が達成できていません。
在野リフレ派はそれを消費増税のせいにしているわけですが、無理があると思われても仕方のない面があります。
なぜなら、異次元緩和が始まる前にリフレ派の「理論家」が行っていた推計だと、70兆円も緩和すればデフレから脱却できるとしていたのですから。
ちなみに「理論家」とカギカッコつきなのは、仲間内で言われているだけだからです。私はその人を理論家だとは思いません。「構造問題を財政金融政策で対処する」とか「減税で所得が増えると貯蓄されるだけだが、公共事業で得た賃金は貯蓄されない」などという発言を読んで理論家であると思うわけがありません。
それはさておき、リフレ派内で想定されていたマネタリーベース増加量の3倍くらいを現実には増加させているのですから、消費税だけでインフレ目標が達成できないとするのは、人びとの納得を得るのに不十分であります。
インフレ目標が達成できないのはまだしも、予想インフレ率が上がらないことへの説明もなされていませんね。
これが日銀無限借り換えとどう関連するかというと、無限借り換えはマネタリーベースが減らないということを意味します。
となると、リフレ派の考えに従えば、予想インフレ率や実際のインフレ率も高いままになるはずです。
インフレ目標を達成したあともマネタリーベースを高いままにすると、悪性インフレを招くのではありませんか?
その状態でも法定準備率の操作や準備金への付利によってインフレ率を抑えることができると私は思いますが、現時点で在野リフレ派はインフレ抑制の具体的手法について一切言及していません。
考えていないのだろうと思います。
また、無限借り換えとリフレ理論がインフレの問題について矛盾しているということにまだ気づいていないのだろうと思います。理論を考えませんから。
そして、無限借り換えをすると金融政策が制約されるという問題があります。
金融調節に際して保有国債を売却する手段も備えておく方が、柔軟な政策を行うためには当然よいはずですが、在野リフレ派は、政府債務問題について都合の良い発言をしたいという一点だけで、金融政策の幅を狭めるような提案を平気でするのです。
つまり、根本的に財政主体で政策を考えているわけです。
このような発想をする人たちを「リフレ派」と呼ぶのはおかしいのではありませんか?
私が参考にしてきたリフレ派で、真に理論的な人たちは日銀に入ってしまって発言機会が激減してしまっていますから、あとに残った理論的でない人たちがリフレ派の代表のように適当な発言をばら撒いていますが、全然よいことではないです。