レントシーキングの意味は?

経済分野の読書で難しいのは、「どの筆者が誠実か」を見分けるのが大変なこと。
科学や法律の分野だと、

  1. ウソを書くとすぐにばれる
  2. ウソをつくメリットがあまりない


という事情から、まともな本を見つけることは容易です。
しかし、経済には多くの人が関心を持つので本がよく売れ、ウソを蔓延させることが官僚・政治家・評論家にとっての直接の利益につながるので、まがい物の方が多いという状況になります。
ややこしいことには、学問的業績はきちんとしていても、出世したい余りに官僚や政治家に媚びるウソ発言を連発する学者も多いので、一般人はいっそう混乱させられてしまいます。
その点で、岩田副総裁や浜田参与をはじめとしたリフレ派学者や著述家はまれな存在だといえます。
専門知識のない私たちには、誰が誠実で誰がそうでないのかを区別するのが困難であり、それ故に先入観や見た目や肩書や経済以外の思想性など、経済にまつわる主張と関係ない部分で、ある主張を支持してしまうということになります。
「言っている内容」で賛否を決めるのが人間として正しい態度、という話は学校でよく教えられますが、「言うは易く行うは難し」の典型例だと思います。

ントシーキングの意味をおさえましょう

レントシーキング - Wikipedia
平たく言うと、

  1. 政治権力にとりいって規制をかけてもらう
  2. 規制で競争相手を排除してもらい、利益を得る
  3. その利益は、競争がない分、高いものになる
  4. 「高い利益」とはつまり、消費者がその分を負担するということ


これをふまえた上で、レントシーキングの意味を完璧に誤解している三橋貴明の主張を検討しましょう。

タクシー台数削減を義務づける法案、月内に提出
ようやく、タクシーの「規制強化」の動きが本格化しました。記事にもある通り、規制緩和とは供給能力を増やす政策で、
「供給過剰により、働く人々がどんどん貧しくなっていった」
 のでは、少なくとも経世済民という視点から見ると間違いです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11660479847.html

タクシーの台数を増やしたことで運転手さんたちの賃金が下がったのは、タクシー料金の規制緩和をせずに、高いまま放置したからです。
高い料金のまま台数だけ増えても、利用者が増えるはずがありませんから、貧しくなるのは当たり前です。
台数を増やすのであれば料金も自由化し、利用者を増やす方向に向かうべきでした。
そうすれば利用者の利便性が高まり、タクシー台数も需要に見合った水準に落ち着いたでしょう。
そのような自然な調整機能を使わずに、官が中途半端な規制をしいていたからこそ、貧しくなる人が増えてしまったのです。
もともと官僚や自民党は規制改革をする気が有りませんから、この状況をこれ幸いと規制強化の方向に向かっています。
アベノミクスの第三の矢は虚妄の「産業政策」だけになりそうで、成果は望み薄です。