問題:業績より賃金が速く上がるとどうなるでしょう?

簡単ですよねー。
その会社はリストラを始めます。
そうしないと潰れますから。
読売新聞のこの記事はアベノミクス支持の人が間違えているのか、曲がりくねった反対論なのか微妙なところ。

アベノミクス 物価上昇は困るか
読売新聞(ヨミウリオンライン) 1月23日(水)15時46分配信
安倍政権の経済政策「アベノミクス」が動き出した。
【略】
 経済成長はもちろん望ましい。そして、デフレよりも緩やかなインフレの方が好ましいのだが、長年デフレ経済に浸ってきた中では、物価上昇をどう人々に受け入れさせるかが重要だ。
【略】
 問題は、「物価上昇は困る」という人々をどう説得するかだ。説得できなければ、企業が給与を増やすために製品価格を上げようとしても、消費者が受け入れず、結局、インフレ期待は高まらない。

インフレ期待(インフレ予想)はそういうものではありません。
そういう部分が無いことはないと思いますが。
金融緩和を強力に実施すると宣言して実行すればインフレ予想は否応なしに高まります。
金融緩和を実効性有る形でおこなって、インフレにならないということはありませんから。
また、「人々のインフレ期待云々…」という場合の「人々」とは市場関係者を指すのであって、一般消費者ではありません。
一般の国民が経済理論的な部分にそれほど関心を持つはずがないではありませんか。

政府は従業員や給与を増やして人件費総額が膨らんだ場合、法人税を減税する措置を検討しているが、それだけでなく、例えば春闘で給与増を呼び掛けることがあってもいい。物価上昇よりも先に給与を増やすなどして、景気が良くなるという人々の期待を高めることが、まずはカギになる。
 (読売新聞 調査研究本部主任研究員 安部順一)

景気が良くなるよりも先に給与を増やしたら、企業はリストラするか潰れるかします。
経済を引っ張る人々から先に動き出して、世の中で消費や投資の動きが活発化すると物価はいずれは上昇しはじめますが、すぐに起こるわけではありません。
日本のバブル時代も資産バブルは発生していましたが、物価の上昇率は高くなかったのです。
人々を上手く動機づけるために、「こう動くと得をする」と彼ら自身が考えるような状況を作り出すことが消費や投資の活発化には有効なのであって、「企業からカネを吐き出させる」といった日本共産党的発想を実行してもうまくいかないでしょう。
給与が増えても貯金するだけかもしれません。
いずれにせよ一般の人々が動くのは相当に後なのですから、そこに力点をおく必要はありません。