スペインの猟師とグレイハウンド

The dogs left to die after they 'humiliated' their masters | World news | The Guardian

The dogs left to die after they 'humiliated' their masters
飼い主に「恥をかかせた」という理由で、犬達は遺棄され、死ぬ。スペインの猟師たちは毎年5万頭ものグレイハウンドを吊るしたり、溺れさせたり、毒を飲ませたりして殺していると、動物の権利活動家は主張している。
2006年1月1日 オブザーバー紙
スパニッシュ・グレイハウンドとして良い働きができなかった罰として、緩慢な死を迎えるように吊るされたレイは、クビに巻かれたロープからなんとか逃げ出した。
吊るすのはグレイハウンドを殺す方法の一つに過ぎない。井戸に投げ込まれたり、生きたまま焼かれたり、漂白剤を注射されて殺された犬も見つかっている。
しかし、スペインの猟犬に対して行われる残酷行為のうちでも、レイになされたことは非常に捩じ曲がった心性をうかがわせるものだ。
この方法は死にながらのタイプ打ち、とよばれる。犬がもがく足音がタイプ打ちの音に似ているからだ。飼い主に恥をかかせたグレイハウンドに用意された罰である。
レイのクビについた傷は酷いものだったが、なんとか獣医に手術してもらい、費用はかかったが命は助かった。
スペインのグレイハウンドはうさぎ追いに使われる。二頭の犬が用いられる。
犬達はうさぎが急角度で転回して走るのを真似るように期待されているが、それができない犬や飼い主の面子をつぶした犬は、「汚れたグレイハウンド」と呼ばれ、大抵は「タイプ打ち」の方法で殺される。
この情報をもたらした活動家の団体だけで、年間100頭以上のグレイハウンドに里親を見つけている。レイはスペインのテレビ番組に出たあと、里親を見つけた。
犬達のなかには人間を恐れるあまり散歩できなかったり、庭や他の犬を持っていない人のところへは行けないものもいる。そのようなグレイハウンドたちは、アメリカに送られることがしばしばある。
スパニッシュ・グレイハウンドの里親をみつける世界的なつながりが出来てきている。レスキュー団体は、ドイツ、デンマーク、イギリスなどの欧州諸国にも里親を見つけている。
アイルランドで繁殖されたグレイハウンドもスペインに捨てられている。犬達はバルセロナでのレースのために輸入されている。レースができなくなった犬が繁殖に用いられ、猟犬を生み出すことも頻繁にある。
スペインが動物に対して残酷であるという評判がたったので、政府は動物虐待を禁止する法律をつくった。闘牛や家畜は例外とされたが、狩猟用グレイハウンドは対象になるのかどうか明らかでない。犬はペットとして、法の保護の対象にするべきだという声もある。
グレイハウンドへの残虐行為は裁判になってもいるが、判決はまだである。
スペイン人たちが残虐行為に対して我慢できなくなっている兆候はある。そのような行為を違法とすることを求める5万人のデモが環境大臣に対して行われた。
環境省の役人はその趣旨に賛成したが、法の執行を担当するのは地方政府や市役所である。
不幸なことに、地方では政治家と猟犬を用いる人が同一人物であることがある。
しかし、人々の怒りは増している。普通の人々が行動しはじめている。グレイハウンドをつれた猟師が、「殺し屋」と罵声を浴びせられる例もでてきた。
だが、グレイハウンド殺害がやむことを意味するわけではない。猟師たち、一年に何ダースもの犬を繁殖する者もいる猟師たちは、毎年の猟期にはどのグレイハウンドを処分しようかと選んでいる。動物愛護活動家が最も恐れるのはこの時である。何頭かの犬が松の木林に吊るされているのが発見される。最悪の出来事である。