金利の上昇=悪、ではない

このへん、わりと教条的に捉えられてしまっているようで要警戒です。
この分野は他の要素との関係で相対的にとらえたり、変化に応じて見方を変えたりしなければならないようで、常識をアンラーニングしておく必要が特にあります。
我々はうっかりと思い込みにとらわれて判断を始めてしまいますが、変化しているパラメータをいろいろ眺めながら関係付けて考えなくてはならないようです。
自分の前提を疑う行為は、それを意識することからスタートしなければならないので、なかなか難しいことです。
昨今の金利上昇について、日銀の黒田総裁が早くも正しい見識を示しているところはさすがです。

金融不安定化の懸念なし=長期金利1〜3%上昇でも―黒田日銀総裁
時事通信 5月26日(日)18時28分配信
 黒田東彦日銀総裁は26日、東京都内で開かれた日本金融学会の会合で講演し、長期金利の上昇に関して「仮に1〜3%程度上昇しても、経済・物価情勢の改善を伴えば、貸し出しの増加や利ざやの改善、株価の上昇など金融機関の収益にプラスの影響が及ぶ」とした上で「金融システムが不安定化する懸念は大きくない」と述べた。

「景気がよくなると金利は上がる」という認識はもともと常識的に持っていたと思いますが、一方で「金融政策が効果を発揮するのには時間がかかる」という『常識』もあったために戸惑ったのかもしれません。
このところの金利上昇は、黒田岩田日銀の政策が良いもので、予想以上に素早い効果を発揮しているということなのかもしれませんし、CDSGDPの数字なども合わせて考えると、それで当たっていると思います。
市場は「日銀の政策は非常に良いし、効果が既に出ている」と判断して他の資産やモノにカネを移動させていて、そのパワーが日銀による買取速度を凌駕してるということでしょう。
嬉しい悲鳴を上げるべき場面ですね。
また、効果的な金融緩和政策で金利が上がるのは正常な反応である、という事例が実際にあります。
A theory is put to the test | Historinhas
このエントリでは、アメリカでQEを行う度に長期金利が上昇している事実を指摘しています。
こちらで確認しても同じ。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/cbuilder?T=jp09_&ticker1=USGG10YR%3AIND
アメリカは現実に景気が回復していますね。
要するに、景気を回復させようとしたら金利は上がる、と考えて良いのです。
日本でも量的緩和期には長期金利が上昇しています。
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_choukikinri
で、量的緩和を解除して、デフレの悪化とともに長期金利は下がっているという。
金利の上昇はやはり、ポジティブにとらえて良い事柄のようです。