佐々木俊尚が知らないことに口出し

とはいっても、この手の人たちは知らないことに口出しすることが日常的なのですけれども。

まず河野龍太郎の「…だとすれば」論法は、反リフレ派のメイン戦術ですが、リフレ派はまともな経済観を持っている人が主流なので、「金融政策は経済の安定化に使います」と著作に明記しています。
潜在成長率というのは生産力を増やすことのできる率のことですが、これを成長させる環境を整えるのは政府の役割なのであって、日銀の役割ではありません。
だから日銀総裁が、「デフレの原因は潜在成長率の低下のせいです。」というのは、話を逸らしているのですし、言い訳しているのです。
それは日銀総裁が口出しする事柄ではありません。
日銀理事になりたくて仕方なかったのに拒否されてしまった河野龍太郎は、今後の布石として日銀擁護の言説をばらまいているかもしれませんし、バラマキの場としての媒体のお膳立てをしているのは誰なのだろうという興味も尽きません。
そして、宮台真司萱野稔人にも同じ事が言えますが、既存メディアやネットでやたらと踊っている「論者」はどうしてこうも「自分が知らないこと」について嘴を突っ込んでくるのだろうという疑問がわきます。
佐々木俊尚の口調は「俺は経済通であるのも前提」という印象を与えるように、実に巧妙に慣れきった感じのツイートをしているわけですが、詳しい人が読むと「この人ぜんぜん無知な人だな」とわかってしまいます。
しかし、佐々木がマーケットとして想定している読者は「経済に無知で、調べる気持ちもないが付和雷同して、華やかな世界の末席に座る錯覚を覚えたい」という人たちなので、上記ツイートのような適当発言で問題ないのですね。
むしろ、世間に間違った情報をどんどん流した方が、間違った情報を話す自分が場所を得やすくなるのですから彼にとっては合理的です。
もし世間に正しい情報が流布してしまうと、佐々木が発言する際にも正しいことを発信するように下調べをしなければならず、それは彼の「生産コスト」を増やし、「参入分野」も狭めてしまうので不利になってしまいます。
メディアで踊る言論業者の皆さんにとっては、どの分野にも労力なく口出しして、雑談まがいの適当発言で報酬が貰える環境の方が素晴らしいのは当然のことであります。