【安倍自民】伸縮的インフレ目標と名目GDP目標

名目GDP目標は、更なる金融刺激をもたらすという点で注目を浴びている手法であって、私も関心を惹かれて入門的文章を読んでみました。
NGDP targeting, the hot new monetary craze that just might end the downturn - The Washington Post
読んでみた感想としては、「日本のリフレ派の主張とそれほど懸隔がないな…」というもの。
名目GDP目標の唱道者は「インフレ目標の代わりに名目GDP目標を採用しよう」と呼びかけていますが、名目GDP目標による経済回復の経路は私が今まで勉強させてもらってきた岩田規久男教授の主張とほとんど変わらないものです。
どうしてこんなに違和感が少ないのだろうと思って「デフレと超円高」を読み返してみました。

デフレと超円高 (講談社現代新書)

デフレと超円高 (講談社現代新書)

伸縮的インフレ目標を採用する目的として、「名目GDPを4〜5%に維持すること」が挙げられています。
つまりインフレ率+実質GDPを4%〜5%に維持する、ということが最初から目標に置かれているのですから、名目GDP目標の内容を読んで違和感がないのも当然といえば当然です。インフレ率以外のパラメータも日本のリフレ派は視野に入れてきたということです。
アベノミクスを実現させる際には、私は日本的伸縮的インフレ目標を設計することを期待します。
一口にインフレ目標といっても、そのあり方は単一ではなく、日本の実情に合わせて、世界のインフレ目標運用の経験をふまえて、さまざまなパラメータを見ながら調整して欲しいと思います。
そして、その内容を初めから明確に提示して国民とのコミュニケーションを重視するべきだとも思います。
金融政策についてのデマを反対勢力はあらゆる方向から大量のウソを混じえて攻撃してきていますから、正しい金融政策の内容をCM、ネット、出版物、講演など多くのコミュニケーション媒体を用いて国民に知らしめる努力を求めたいですね。