批判しづらい財政政策を考える

各種世論調査を見ると安倍自民党はなかなかの支持を得ているようで、日本民主党やマスコミからの虚言を大量に混じえた非難の洪水もそれほど効果を挙げていないようです。
金融政策がわかりづらい分野であるだけに、あまり理解されていないのが幸いしているのかもしれません。
安倍総裁としては理解された方が良いでしょうが…。
ただ、このまま選挙まで巡航できるとは限らないので念を入れておく必要もあるでしょう。
現在、安倍総裁が提唱されている金融政策・財政政策は正しいものでありますが、腹黒い政敵と左翼マスコミにとってはレッテル貼りによって攻撃しやすい内容でもあります。
自民党は既に公約を発表してしまったので政策の追加はやりにくいでしょうから望み薄なことではありますが、左翼的な価値観からも否定しづらい財政政策を入れておくのも必要であろうと思います。
巷で評判になっているのは年20兆円の公共事業という財政政策ですが、安倍総裁のお話ですと20兆円の全額が公共事業ではないということ。
しかしここでは話を簡単にするために、現状20兆円全額が公共事業として考えられているとしてみますが、種々の事情を鑑みて公共事業を多くしなければならないとしても、そのうち5兆円くらいは「格差縮小」的な政策に使ってみてはどうかと思います。
定額給付金は悪くない政策だと思いますが、「バラマキ」という批判を浴びやすい。
そこで対象をワープアに絞った生活支援政策を考えてはどうでしょう。
ワープアに絞るのは、彼らが生活に困っているということは勿論、働いていると貰える、という支援が良いと思うからです。
私は生活保護が悪いとは思いませんが、制度の内容が良くない。
今の生活保護は一旦はまってしまうと「働くと損する」仕組みになっていますから、人間の自立を妨げてしまいます。
働くことによって収入を得、自尊心を保ったまま、社会から援助を受けることが出来たなら、その人は日本社会に所属していることに積極的な意味を見出すでしょうし、それは単に金銭的利得にとどまらず、連帯感・幸福感といった精神的価値の獲得にもつながるでしょう。
私がこのように考えるのは、「貧しい人に同情する」とか「社会的公平は大切だ」という倫理的側面によることも確かですが、このような政策は経済効果があるのです。
安定した収入があり、さまざまな面で満足した生活をしている人よりも、必要なもの・欲しいものがあっても貧困ゆえに手に入れられない人々の方が、収入を消費にまわす傾向が当然に強いからです。
また、働いていれば社会が支援してくれるという安心感があれば結婚して子供を作ろうという気持ちも強くなるでしょう。それは人口減少問題にも少しは役に立つことと思います。
言い換えるなら、私たちが貧しい人々に所得移転して助けるなら、その人たちは私たちのお客さんとなって盛んな消費をおこなってくれ、私たちの収入としてお金が返ってきます。
そして又、私たちはその収入の中から彼らを支援します。
良い意味で「お金がぐるぐる回る」のです。
ただし、現金で手渡してしまうと貯金になってしまう可能性もあります。
将来のことを考える真面目な人ほどそうなるでしょう。
援助した資金が退蔵されないよう、日本銀行券ではなく「期限つき商品券」のような形で、例えば「渡された券はその月のうちに消費する」といった仕組みにします。
このような、物質面と精神面を両方共バランスよく発展させていけるような財政政策をリフレ政策の中に含めるなら、日本社会を没落させたがっている勢力は攻めあぐねることでしょう。
彼らの戦略は政策論議ではなく、ひたすらイメージ操作ですから、道徳的に印象の良い、それでいて経済学的正しさも兼ね備えた財政政策が採用されることを期待します。
現実的には難しいと思いますが。