次の衆議院選挙の焦点は?

次の衆議院選挙では石原・維新・みんな・たちあがれ大連合と自民党との間で政策論争が行われると思うのですが、改憲についてはどこをどのように変えるかということが議論され、改憲すること自体には差がないと思います。
マスコミが突っ込んでくるのは主に9条でしょうし、賛成派も反対派も一番興味を惹かれる部分でしょう。9条にまつわる話は物語性が強いので皆が語りやすいものだろうと思います。
ただ、大連合としては統治機構改革の部分の方が実際には喫緊の課題であり、有権者に関心を抱いて欲しいところなのだろうと思います。あまり「面白くない」話題ではあっても…。
今のところ自民党からはこの部分の改革案は出てきていませんが、党内でいろんなしがらみからくる意見対立が発生しやすいテーマでもあるので、もしかしたら今回は避けるのかもしれません。
社民・共産は当然のことながら改憲反対でしょうし、民主党は大連合と自民党をとにかく否定する後ろ向きな言説に終始するしかないでしょうから、おそらくは改憲に反対するでしょう。
民主党は9条改定については党内の左派が許さないでしょうし、統治機構に関わる部分については現状の官僚依存ぶりからして恥を知っていれば改定を主張できないでしょう。ただ民主党はウソをつくのが平気ですから、「官僚支配を打破します」などとまたぞろ言い募って選挙が終わったら痴呆に戻るということをやりかねません。警戒が必要です。

金融政策

世間からあまり関心を持ってもらえないですが、実は非常に大きな問題としては金融政策があげられます。
米国では金融政策がようやく望ましい形になってきて、経済学者たちは「もうひと押し金融か財政で何かやれ」という感じでポジティブな空気が生まれてきています。
「財政の崖」問題を回避できれば今までよりも順調なペースでアメリカ経済は回復していくでしょう。大恐慌になってもおかしくなかった大ショックを和らげ、社会の混乱を低めに(もっと低く抑えられたという批判もありますが)抑え得たのは、地位にふさわしい優秀な専門家を上手く配置する知恵が米国にはあったからです。
経済が完全に復調したときには、「バブル崩壊のショックを治す方法」が実例をもって歴史に刻まれるわけで、これは人類史に残る財産になるでしょう。
バブル崩壊のショックを大きくしないための規制がそもそも大事だとは思いますが、それでも崩壊したあとに「何をやれば良いのか」がわかるようになったなら、私たちの生活はより安定した見通しのよいものになっていくと思います。
日本はバブル崩壊後のデフレ不況を今だに克服できないでいますが、これはひとえに日銀の政策が間違っているからです。
というか、80年代終わり頃に景気が過熱しているにもかかわらず金融緩和を続けたのは日銀ですからバブルを招来したのは日銀ですし、崩壊後に不必要なまでにしつこく金融引締めをおこなって不況を深めたのも日銀です。
つまり日銀はバブル前後に緩和政策でも引き締め政策でも失敗したわけで、彼らがデフレの責任を他に押し付けたがる気持ちがわかります。あまりにも無様すぎて自分たちの非を認めてしまうとプライドが保てないのでしょう。
しかし、20年もの間国民生活を犠牲にしながら保身に汲々としているのは無責任にもほどがあります。
自民党は安倍総裁がインフレ目標と日銀法の改正を提唱していて、主力政党が正しい金融政策を訴えるのは日本では画期的なことです。

【安倍総裁に聞く】衆院選「自公で過半数めざす」
2012.10.27 09:03 サンケイビジネスアイ
 石原慎太郎東京都知事が結成する新党については「今の憲法がおかしいという認識は一致するだろう」としながらも、「石原氏は破棄を求めている。破棄は事実上革命だ」と述べ、改正要件の緩和を優先すべきだと主張した。
 安倍氏は政権奪還を視野に外交・安全保障体制の立て直しの必要性に言及。「国内外にわかりやすく日米同盟関係が復活したことを示したい。集団的自衛権の行使への解釈変更なども含めて同盟を深化させ、日米首脳会談で戦略的目標を共有する関係であることを明らかにする」と語った。
 経済再生についてはデフレ脱却のため、日本銀行に一段の金融緩和を求める方針を重ねて示した。日銀は消費者物価上昇率を1%にするとのめどを掲げたが、安倍氏は「個人的には3%のインフレターゲットを持つべきだ」と明言した。
 さらに日銀に明確な「インフレ目標」値を持たせ、達成を義務付けるため日銀法改正を検討する考えを示した。

安倍総裁は「3%のインフレ目標」を掲げていますが、3%という数字に並の政治家とは違う深い理解が伺えます。
アメリカが先だって採用したのは2%のインフレ目標ですが、アメリカは既に2%のインフレ率を達成していますから、追認という形になっています。米国でもインフレを警戒する人たちは多いですから、反対派を刺激しないように現状追認レベルの穏やかな数字をあげたものと思われます。
ですからクルーグマン氏は「目標が低すぎる。不況からの脱却には4%でなければならない」と述べています。2%は平時の目標だということです。
安倍総裁が3%という数字を挙げているのはこのような事情も踏まえてのことであろうと推測できます。
そしてインフレ目標を実効性あるものにするためには、中央銀行のコミットメント、平たくいえば責任をとらせる決まりが必要ですから日銀法の改正も必要になります。
現行の日銀法は、金融政策の目的も手段も日銀にあり、仕事が上手く行かなくても何の責任も取らなくて良い、しかも誰も日銀総裁を解任できないという欠陥法です。
安倍総裁はそのような欠陥も認識しており、他の政党が全く言えなかった大きな改革案を提示しているというわけです。
金融政策に着目して『日本の繁栄のためを考えて』判断するなら、安倍自民党にも投票する価値が非常にあります。