無期限の量的緩和が良い理由

日本では「無期限にカネが印刷される」という話を聞くと、「危険だ」という印象を持つ人々が多いと思いますが、無期限の量的緩和は「やぶれかぶれ」などでは全くなく、根拠があります。
アメリカの経済学者が言っていたのに近いロジックで、「たとえ100兆円を新たに発行しても、『一ヶ月で100兆円を吸収します』と宣言していたら何も起こらない」というものがあります。
金融緩和をいくらしても、「この辺の時期に引き締めが行われる」という予想があるなら、大きなお金を動かす人々は何もしないでしょう。
しかし今回は無期限の量的緩和であり、しかも「失業率が十分さがるまで、景気が良くなっても、インフレ率があがっても緩和的な状況を続ける」と言っているのですから、大きなお金を動かす人々は「これは暫くはインフレを織り込んで動いても損しない、むしろ儲かるだろう」と予想して動くことになります。その結果、お金を動かす人々はリスクのある経済行動をとるようになりますから、株式の値段は上昇し、特にQE3では不動産関係の投資が誘発され易くなるでしょう。家が買われるようになれば、家に必要なモノも買われるようになりますから、経済効果は大きいです。
また、原理的インフレ目標*1とは違い、目標インフレ率を上回る状況になっても、失業率が十分に下がらなければ量的緩和を続けると宣言していますから、原油や食料価格が突発的に上昇したとしても、お金を動かす人々は金融引締めを怖がらず、緩和的な状況が続くことを信頼して動き続けるでしょう。お金の動かし方が安定することが期待されます。
アメリカはあとは、「財政の崖」問題を出来ればなんとかしてほしいものですが、大統領選挙がありますから、現職大統領に有利になるような動きは期待できないですね。残念なことですが、財政が緊縮することで、アメリカ経済の復調が阻害されることもあると思います。

*1:リフレ派が主張するのは伸縮的インフレ目標ですから、この問題は回避されます。