たけちゃんではやはりダメなのか?

1分20秒〜7分20秒あたりが、リフレじみた話の展開。宮崎哲弥氏がリフレ賛成なので、話を合わせている可能性もあり。

中野剛志を私はぜんぜん支持しませんし、『表でこう言って裏ではああ言う』といういやーな行動様式は世間で普通に見られることですから、この動画で中野がリフレじみた話をしても著作でまるで否定している、といったことは勿論あるでしょう。
私は中野の本など買いたくありませんし、中野は腰が定まらないので真面目に読むだけ無駄だと思っています。彼に対して批判的であり真面目に読むべき立場の人間とは専門家ですね。一般人がいくら批判的に読んでも中野に対して何の影響も及ぼせないので無意味な労力です。専門家は中野が間違った発言をしていると思うならどんどん批判するべきです。
中野を批判するべきだというのは、彼の影響力はネットにとどまらずに広がっているからです。私は『中野の本を買いたくはないが、どのようなことを言っているのか知りたい』ということで3つの自治体の図書館で蔵書検索をしましたが、「貸し出し中」「予約」という表示が目立ちました。
これを読んでいる人も試しに適当な自治体の図書館の蔵書検索をネットで試してみれば良いと思います。
それはつまり、読書もせずにネットでああだこうだ騒ぐネトウヨだけでなく、真摯に読書に取り組もうという層も中野の言説から影響を受けつつあるという事態を示しているのです。
中野がもしリフレ政策にとって大きな障害になると判断するなら、今のうちに正面から批判を展開しはじめないと間違った思想が世間に広まってしまうということが一点ありますし、逆に真摯に読書をしようという層に対してはまともな批判であればアピールする可能性があるという意味もあります。真面目な姿勢を持った人々が真面目さと不慣れさ故に、正統でない経済観を持つようになるのは社会にとって損失であると共に危険でもありますから。
ただし、いくら中野を批判しても彼は議論には応じないでしょう。特に顔を付き合わせての議論はやらないと思います。中野は気が弱すぎるので、自分の話を聴く人が好意的でないとおそらく泣いてしまいます。
上記の動画でも相当に話の展開が危うい部分があり、自分の学識に不安を抱いているようです。
しかし、そのような精神的脆弱さは日本人には受けるという難題が存在するのを忘れてはいけません。話の内容が正しかろうが間違っていようがおかまいなく、情緒的にほだされると話の内容にまで賛成するという手の付けられない自他の曖昧さが日本人の特徴ですから、たとえ批判者の方が論理性・合理性・事実性で正しくても世間的なスタンダードとして中野の主張の方が受け入れられてしまう可能性は十分にあります。
中野が強敵であるのは周囲から自発的に彼をささえる日本人の心性に、彼のキャラクターがピタリとはまっているからです。
日本人がウェットに共有する仲間意識の基準から見て中野にはスター性があるわけです。
非常に嫌な感じの芸能人でもファンから強く支持されて好き放題の言動が通ってしまうという例がよく見られると思いますが、その手の厄介さに正統な学問的知見が対抗できるかどうか注目ですね。個人的には悲観的ですけれども。