日銀政策委員の大半が素人

日銀は変化球やめ国債購入の直球投げよ
 4月20日ブルームバーグ):慶應義塾大学竹中平蔵教授は、日本銀行はデフレ脱却のため、成長基盤強化の資金供給のようなその場しのぎの「変化球」ではなく、マネー供給の手段である国債の購入という「直球」に徹するべきだとの認識を示した。また、金融の専門家が少ないことなど、政策委員の資質にも問題があると指摘した。19日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。
日銀は3月13日の会合で、金融政策運営の現状維持を決める一方で、成長基盤強化を支援するための資金供給を従来の3.5兆円から5.5兆円に拡大した。しかし、竹中氏は「これは日本政策金融公庫の仕事であって、日銀の仕事ではない。日銀は常に、直球を投げようとせず、変化球でその場をしのごうとしている」と語る。
竹中氏がいう直球とは国債の購入だ。「中央銀行は市場からモノを買ってマネーを供給する。最も買いやすいのは、中央銀行のバランスシートにとって最もリスクの小さい国債だ」と指摘。「国債を全部買って、もう買うものがないというのであれば、外債など他のものを考えればよいが、今はそういう状況からはほど遠い」という。
竹中氏は政策委員に対しても手厳しい。「国会という手続きを経ると速やかな判断ができない、かつ金融は極めて技術的だから専門家に任せる、これが中央銀行を政府から独立させ別に作っている最大の理由だ。ところがその大半が専門家でないのが日銀だ」と指摘。「金融の博士号を持っている人が何人いるのか。財界人枠などがあり、金融と関係ない人もいる。これは非常におかしなことだ」と語る。
【中略】
竹中氏は「物価安定のめど」が一歩前進とまでは言えない点として「目標に幅を持たせ、そこから外れた場合にどういう責任を取るのかを明記しなくてはならない」と指摘。さらに、誰が目標を作るのかについても「目標を共有するという意味で、本当は政府と日銀の間で合意できればよいが、それができないのであれば、日銀法を改正して新たなルールを作るしかない」と主張する。
【中略】
竹中氏は一方で、「日銀の決定が人々の期待を変えていることは事実であり、期待の変化がその後の若干の為替レートの変化と、株式相場の変化になって表れている」と指摘。「今回一番大事なことは、金融政策が有効だということが、すごく明確に出たことだ。このチャンスに、これを決定的なものにしてもらいたい」と語る。
【中略】
その上で「察するに、日銀は政府を全く信用していないということだ。政府が何をするか分からないので、自分たちのバランスシートを守ろうとしている」と言明。「もし日銀の政策委員が政府を信用できないというのであれば、要請された段階で、私はあなたを信用できないからやらないと、そこで拒否すべきだ」としている。