リフレ政策が耳目を集めるには

その辺の事情に関心を持つ人には重大性がわかっても、そうでない人には今ひとつピンとこないというのは、どの問題でも同じかもしれませんが、マクロな意味で経済の状態が悪いというのは、その社会で人生を送る人々にとって「どんなに頑張っても報われない」状況を生み出すという意味で、非常に深刻な問題です。
報われないだけならまだマシで、理由がわからないまま死に追いやられる人々も少なくないわけで、そのような人々は特にマクロ経済なんぞには関心を持たないでしょうし、持つ機会も発想も無いであろうということが大変痛ましいことであります。
リフレ政策が人々の関心をあまり集めない理由は、『それが実行されても自分に直接の利益が無い。』ということでしょう。
定額給付金子供手当てのような財政政策が分かりやすいのはその逆でしょうね。
リフレ政策が人々の関心をひかない、所謂リフレ派も育たない、連携が足りない、というのも「直接の利益が共有されない」という同じことに起因するように思います。
その反面、デフレや不況を悪化させるような言動を行う人々の間には「私利私欲を追求する」という具体的かつ即効性のある共通利益がありますから、その団結や連携は強力です。彼らは日々精力的に、一般国民にむかって様々なメディアを利用してプロパガンダに励んでいます。この問題に関心の薄い国民は、権威あるスジからのプロパガンダを聞きかじって簡単に篭絡され続けているというわけです。
こういった状況を見ていると、『やはり人間の活動の根っこには私利私欲やエゴの充足が無ければダメだな』という思いを新たにします。
しかし、社会全体の状況を良くしたいという願いと私利私欲・エゴの充足を上手くリンクさせる方法が思いつかないので、結局は効果の薄い「啓蒙」といった昔ながらの方法を悲観しながら行うということしか無いのでしょうね。
正直、『これが論理性・合理性・事実に根ざして正しいことなのだから賛成してください。』といっても人々にはアピールできないでしょう。それは人々に何のメリットも齎さないからです。
「回りまわって結局は得することになるのですよ」と説得しようとしても、民主党の朝三暮四な政策に流されているのが世間の現実ですから、そんな遠い話よりは権威筋からの情報を何となく受け入れている方が「頭を使わないから面倒臭くなくていいわ」といったことになるのでしょう。
この問題でも結局は破局を迎える事態になるのだろうとどこかでは思っています。経済の面で、原発で言えばフクシマみたいになるだろうということです。*1

*1:欧州もその方向に向かっているようです。http://econdays.net/?p=6435