TPP論議は取り敢えずどうでも(ry

消費増税の問題を覆い隠すためかどうか知りませんけれども、なんか不自然にTPP論議が取り上げられているような。
ただ、この記事はそうではないけれども。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20120330/230398/?P=1
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TPPに「今」参加するかどうかが日本の命運を分ける、といった内容は個人的には『そうかな?』と思いますが、いずれは環太平洋自由貿易圏に参加しないと日本だけハブられてしまいますから、どこかの時点で参加を決めなくてはならないのだろうと思います。つまり、参加するかどうかを論議するような問題じゃないと考えています。
『日本を守るために参加しない!』と息巻く人々が多いのですけれども、環太平洋地域で日本以外が全部自由貿易圏をつくってしまったら、日本だけがその壁の外側にいることになってしまいますが、その事についてはどう考えているのでしょう。ブロック経済圏の外に一人だけ孤立していることが日本を守ることになるのでしょうか。
TPPの「問題点」について『農業だけの問題じゃない!』とこれまた息巻く人々がたくさんいますが、そういう書き込みを農業関係者がしているように見てしまうのは私の根性が捩じ曲がっているからかもしれません。
私はTPPで農業の問題は大きいと思いますし、実際に農業関係者が反対集会を開いていますね。賛成派にとっても反対派にとっても農業は大きい問題のはずです。それにも関わらず、農業が主要なテーマではないというのは話を逸らしているような印象があります。
「農業を守ること=日本を守る」という論法を見ていて腹が立つのは、農業関係者が本当に日本社会のためを思って仕事をしているなら、あんなバカ高いコメを買わせ続ける筈がなかろう、と思うからです。
日本の「農業保護」は実際は「生産者保護」に過ぎず、とりわけ「兼業農家保護」であって、そのコストは一般国民に付け回していますね。
社会全体の利益を考えるなら、兼業農家をしている人々よりも、それ以外の人々の方が圧倒的に数多く存在しているのですから、国民の大多数の利益をないがしろにして、一部の人々の利害関係だけを国をあげて保護するのは変だと思うのですが。
日本のコメの価格を下げるのは簡単なことで、減反政策をやめれば良いのです。
減反政策をやめて自由に作付けできるようにすれば、非効率な兼業農家は農業をやめて、土地を貸し出すことを選択するでしょう。
そしてやる気のあるコメ専業農家は土地を集約して今よりもコストを下げることで価格の低下に対応しようとするでしょうし、むしろ価格を下げて輸出できる体制をとろうとするでしょう。つまり、今までよりも広い市場を意識した農業をするようになるでしょう。そのようにしなければコメの価格低下に対応できないのですから、合理的な帰結です。
「日本のコメ価格が低下しても中国などとは競争できない」という意見もあるでしょうが、中国は経済成長の影響でコメ価格が上昇していますから、現状でも60キロ当たりの値段が中国は1万500円、日本は1万4000円と、その差が縮まっています。今後中国はさらに経済成長しますから、その差はいっそう縮まるでしょう。日本の専業農家がコストダウンできれば十分に競争できます。
日本のコメ兼業農家は、税金を使った減反政策に守られて高い米価を維持し、高いコメを消費者に買わせていますから、一般国民は兼業農家に対して、二重にカネを支払っていることになります。
TPPに参加するかどうか、TPPでコメが例外扱いされるかどうかに関わらず、不公正によって一部の人々の利益が守られている点を正すべきだというお話であって、「日本を守る」とか何とかいう話とは全く関係ありません。日本社会の防衛がどうのこうのという人々は、自分たちの私利私欲を守るために、一般国民を騙すプロパガンダを垂れ流しているにすぎませんし、そのお先棒を担ぐことで報酬を得ている著名人も多いということでしょう。