ロジックが無い時には情緒に訴える

常套手段だね。

野田首相 「ツイてない世代」と思う若者にメッセージ
2月19日14時40分
提供:アメーバニュース/国内
 2月17日、内閣総理大臣野田佳彦(54)が、首相官邸の公式ホームページ上で「社会保障と税の一体改革について」のビデオメッセージを公開した。内容は、野田首相がカメラに向かって語りかけるという体裁を取っている。
 ビデオのなかで、野田首相は「今までは、将来の世代にツケを回すやり方をしてまいりました。でも、『今さえよければいい』という無責任なことは、もうやめるべきだと私は思います」として、各世代の国民に向けての「お願い」をしている。

人間の罪悪感につけこむ言い方で、十分計算されている。シナリオを書いている人たちがいるのだろう。
良心的な人ほど動かされてしまう点が悪質だが、少し考えなくてはいけない。
野田のこの言い方だと「無責任なのは国民だ」と聞こえるが、本当だろうか?

まず、現在、ちょうど年金受給世代である団塊の世代に対しては、「これから皆様の、皆様の社会保障を支える世代のことも慮って、是非この一体改革についてのご理解、その世論づくりの先頭に立っていただきたいとお願いをしたいと思います」とメッセージを送っている。

堂々とした選挙対策であり、世代間の反目を煽る分割統治手法である。非常に計算されたセリフだ。

 そして、現役世代、若者に対しては、「自分達は多くのお年寄りを支えなければいけない、『ツイてない世代だな』と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、今日の豊かな社会を作ってきたのは、私達の先輩世代、皆さんの親御さんの世代でございます。そのご努力の積み重ねによって、今の日本はあります。その『支え合う』構図のバトンをしっかりと受け継いでいただきたいと思います」と語り、その後、政府側も、社会保障の受益を実感できるような改革を成し遂げるという決意を見せた。

制度設計のミス、或いは制度変更を無責任にも怠ってきたツケを国民に押し付けていることに気づかなくてはならない。
現役世代が引退世代の生活を支えるという制度は働く人口が増えて経済成長していることが前提なので、人口減少が何十年も前から予測されていても無責任にも効果的な対策をうってこず、円高とデフレを無責任に放置してきた現状で、社会保障が危機に陥るのは当たり前である。
国民に責任があるとすれば、「選挙で勝つことしか考えない政治家」や「政治を担当する能力の無い政治家」を情緒に流されて当選させ続けていること、そして社会にどんな問題があるか調べることを怠り、ロジックでなくストーリーばかりを追い求めて軽薄な生き方をしていることにある。
無責任官僚や無責任政治家が面倒な事を全部国民のせいにして罪悪感と負債を背負わせてくるのも、それを看過している国民に非が無いわけではないので、その意味では因果応報かもしれない。