日銀は伸縮的インフレ目標(のはず)

物価目標1%の欺瞞 (編集委員・田村秀男)
2012.2.19 09:51 (1/3ページ)

税率込み…効力「?」

 弁解をあげつらうわけではない。問うのは「CPI1%のメド」が日本経済再生にどれだけ効力があるかである。
 考えても見よ。CPIというのは、消費税率込みである。昨年6月に与謝野馨経済財政担当相が消費税率引き上げ案をまとめたとき、筆者は「デフレをどうするのか」と聞いた。すると、傍らの官僚某氏が「いや、消費税がアップすれば物価も上がりますよ」と、言い放った。経済とは「経世済民」、その思想のひとかけらもない。
 物価の下落幅以上に可処分所得が下がり続けるのが日本のデフレ病だ。消費税率引き上げでCPIがかさ上げて家計の手元に残る所得は減る。すると需要減退で物価は再び下がり、生産が落ち、所得が下がる。1997年の消費税率引き上げ後のデフレがまさにそれである。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120219/fnc12021909560000-n1.htm

この記事の危惧は尤もなことであって、単に物価が上昇しても消費増税で上がったんでは意味がない、というもの。
ただ、日銀は「我々の枠組みはFRBと同じ。」と主張しているのだから、日銀の「インフレ目標」は決して「原理的インフレ目標」ではないはずで、失業率や平均賃金にも目配りした「伸縮的インフレ目標」であるはずだ。
バーナンキ氏は「インフレ率だけを気にする目標ではない。」と発言しており、日銀もそれに同調しているのだから、まさか「消費増税インフレ目標達成しましたので金融緩和を止めます。」とは言わないはずである。常識的な考え方からすればね…