自由の代償

反米であれ反TPPであれ何をどう考えようと自由ですから価値観を異にする人を説得する利益はありませんし、そうするべきでもありません。価値観は自由であり、そこに踏み込むべきではありません。ですからどんな主張をしようとそれは自由であり、そこに根拠や論理や合理性がなくても抑圧されるべきでもありません。根拠・論理・合理性が欠けた主張の価値を私は否定しますが、そのような主張をなす自由も我々の社会にはあるのです。
ですから反TPP派の言うことがいかにムチャクチャであってもその主張をする自由は認めざるを得ない。しかし私は私で「それは間違っている。」とあくまで言います。
で、私は中野剛志という人物の主張は扇動にすぎず正当性がないと断じます。中野剛志及び中野に同調する人々は反論に一切耳を貸さずに一般人を扇動し続けており、その手法を見るにつけて私は全く信用しません。彼らの主張にはことごとく詳細な反論が提出されていますが、彼らは全くそれに答えようとせずに自分たちの主張を反復するだけです。つまりこれは論議ではなくプロパガンダなのです。*1

中野やその同調者にどういう理由でかわかりませんがあくまでも従いたいという人々を説得する術はありませんね。というか説得する利益があるかどうかも曖昧です。TPPについてはアメリカのある種の人々は日本の参加を別に望んでいないという内容の説得力ある主張を目にしたので、これに参加するか否かはどっちでも良いような感じをうけているからです。
しかし、反TPP運動の問題点はそれが反知性的・反理性的糾合の様相を呈しているからで、おそらく今後は外交・軍事の分野でも同じ人々が同じような運動を展開するでしょう。今回もしTPPには参加しないということになると彼らは運動によって勝利したと考えるでしょうから、他の問題についてもイラショナルな大声を上げ始めるでしょうし、それは2009年のあの愚劣な選挙で民主党政権が誕生したような災難をもたらして日本社会を混乱させ、衰退させる一因になるように思います。