為替介入の効果はほとんど無い。

円売り介入 もっとマネーを増やせ 東京新聞 2011年11月1日
 政府・日銀が約三カ月ぶりに円売り介入し、円相場が急落した。無策よりはましだが、介入だけで円高は修正できない。日銀は小手先の対応ではなく、もっと本格的な金融緩和に踏み出すべきだ。
 

 世界の取引規模に比べれば介入額は微々たるものにすぎず、効果は限定的だ。しかも今回は日本の単独介入にとどまり、欧米の当局は静観している。
  

 日銀は通常、政府が円売り介入で日銀に指示して市場に放出させた円資金を後日、国債の売りオペなどで吸収している。「吸収しなければ政府が金融緩和する形になるからだ」というのが日銀の言い分だが、それではせっかくの介入効果が消えてしまう。


 ここは日銀も政府と足並みをそろえるべきだ。具体的には日銀が介入で市場に投入した円資金を吸収せず、そのまま放置すればいい(非不胎化介入)。
  

 二〇〇八年の金融危機以後、欧米の中央銀行は本格的な緩和に動く一方、日銀の対応は腰が引けていた。その結果、ドルやユーロに比べて円が希少になった。それが円高とデフレが続く真の理由である。市中に供給するマネーを増やすために何ができるか。日銀はそこに知恵を絞る必要がある。

為替介入に関して協調介入されるのは震災の後など特殊な事情がないと無理でしょう。他の国には協調介入する動機がないです。そもそも金融緩和すれば円安方向に傾くのですから、他の国にしてみれば「なんで我々がやってあげなくてはいけないの。」と思うでしょう。日本単独で対策がとれるのにとらない、その尻拭いを無関係な他国がやるわけがありません。他国が金融緩和することをエゴのように語る識者もいますが、日本がやらないで自滅していることが変なだけです。

[FT]日本は円高是正にもっと有効な手段を(社説)  2011/11/1 14:00
(2011年11月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 円相場は2008年初頭から上昇し続け、日本の製造業が考えたくもなかった記録的高水準に達した。対ドル相場が41%も上昇したとなれば、日本の大企業はこぞって生産拠点を国外に移す恐れがある。ひいては雇用減少を招き、世界的な需要低迷と相まって経済への深刻な打撃となりかねない。


 為替介入が効果を生むのは、それが持続され、他の主要経済国と協調した場合に限られる。ところが主要7カ国(G7)のメンバーである日本は、単独介入を繰り返すのが難しい。また最近では、3月の東日本大震災のような予期せぬ事態が発生した場合を除き、円に対する協調介入が実施されたことはない。


 円の対ドル相場は12年〜13年にかけて一段と上昇する見通しで、日本の為替ジレンマは和らぐ気配がない。だが、もし日本銀行が国内の課題にもっと真剣に取り組めば、為替問題の多くは消えて無くなるはずだ。


 日銀がもっと大胆な量的緩和策を打ち出し、買い入れ対象を短期資産ではなく10年物国債とすれば、円の上昇圧力を決定的に抑え込む有効な手だてとなるだろう。さらに重要なのは、長く低迷する国内経済を刺激する効果も大きいことだ。この景気浮揚こそ、日本が本気で取り組むべき真の課題といえる。