秋葉原事件の余波

加藤の事件のあと、普通なら殺人の異常性に対するゴシップ的な関心で盛り上がるところが、このところ格差や貧困に対する話合いが活発になされております。
殺人を幾分か正当化するのではないか、という危惧を表明する人もいますが、単に猟奇趣味で楽しむよりは実りのあるコミュニケーションがなされていると私は感じます。
一般人が直接的に、かなり穿った意見を出し合って、それをソーシャルブックマークが集約して交流することの真価を初めて目の当たりにする思いです。
以前は「ブロゴスフィアなんぞどこにあるのか?」と懐疑的でしたが、少なくとも「はてな」の界隈には意義のある言論空間が生まれているのを認めますね。まあ、2ちゃんねるの存在と輻輳しているのも大きいとは思いますが。

貧困大国ニッポン

私はというと、加藤の事件を直接に派遣やワーキングプアに結びつけるというよりは、この事件をきっかけとして、現代に急速に深刻化しつつある貧困について見識を深めようと思いました。

貧困大国ニッポン―2割の日本人が年収200万円以下 (宝島社新書 273)

貧困大国ニッポン―2割の日本人が年収200万円以下 (宝島社新書 273)

この本は日本に蘇ろうとしている「真の貧困」の有様を伝えてくれるものですけれども、意外な副産物があって、それは困窮者のサバイバルに役立つ情報が多い、という点です。
貧困に陥っている人々にインタビューしているので、「何をやって凌いでいるのか」が読めるのですね。
私が驚いたのは、一泊1500円で泊まれる宿があるということと、長期滞在すると住民票をそこに移させてもらえるということでしたね。
ホームレスになってしまうと就職活動・生活保護の申請などについて様々な不利益が生じてしまい、ほとんど再起不能になってしまいますからねえ。
困窮している人は地方にいないでいっそのこと東京に出てきて山谷に住む方がいいんじゃないかと思いました。