時津風親方解雇へ

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071002it01.htm?from=navr

相撲協会北の湖理事長は1日午後、弁護士同席の上で約1時間半、時津風親方から事情を聞いた。同親方は、斉藤さんが亡くなる前夜、ビール瓶で額とひざをたたいたことや、他の弟子が金属バットや棒で、斉藤さんに暴行を加えたことを認めた。これを受け、協会執行部は、「結果として若い弟子が亡くなった。警察の捜査は別にしても、人道的に許されない事態。師匠の管理・監督責任は厳しく問われなければならない」として解雇処分に踏み切ることにした。

良い判断だと思いますねえ。こういう時に「そういう慣習だから」と頑張ってしまうと世評は悪化するだけですから。
下っ端ならぶん殴ってもいいし、むしろそれが本人のためになるのだ、という主張は今や相撲の世界の中でだけ通用するもので、その外部にある一般社会の価値観とは相容れないものになっていますので。
それにしても、新弟子の死亡と親方の解雇、という破綻を迎えないと浄化には至れないわけで。
どこの人間社会にもある宿病であります。
合理的にか倫理的にか人間的にか考えるなり感じるなりして、破綻する前に自らを正すのはとても難しいことなんですね。
今回のような暴力を正当化する理屈は世の中に溢れていますから、学校のいじめがいつまでも無くならないように、相撲界の暴力行為も無くなることはないでしょう。
ただ、解雇されないように多少は自制するようになるでしょうからマシにはなるのでしょう。
犠牲が出るたびにほんの少しだけマシになるのは確かなのですが、犠牲になった本人は浮かばれないですね。
世の中には矛盾を押し通そうとする人が数多くいますから、そういう手合いの犠牲にならないようにしなくてはいけません。
日本の親が子供を善良に育てようとするのは勿論良いことなんですが、ウブに育ててしまう傾向があるとは思います。
純真で素直で、理屈を言わないような。
それは裏を返すと「自分であまり考えない」とか「自力で試練に対抗できない」ということを意味するのですから、良いことだけではありませんね。
ある種、老獪さを身につけられるように、世の中や人間の実相を見せていく教育も必要なんだろうと思います。
綺麗なものだけ見せて、気分の良いコミュニケーションだけしていれば、真っ直ぐ育って幸せになれます、なーんてことはないのですから。