誤った楽観(財政)

消費増税延期が決定してから株価が上昇していますね。本日は166円あがっていました。
増税延期と追加緩和で景気対策は十分だと思いますし、これから審議して補正予算を組むと、執行しはじめるころには経済の調子がよくなり始めているのではないかと思うのですが、あれだけ大々的に宣言してしまった以上、10兆円の補正予算は実行されるのでしょう。
この補正予算は純然たる経済政策とはいえないのだろうと思いますが、やるならいっぺん、思い切りやってみるのも良いのではないかと思います。
個人的にもどのような効果がでるのか興味深いです。
積極財政主義者がいうような、いいことづくめの結果にはならず、何かしらネガティブな影響が出ると思いますが、やらずにくすぶっているのもよくないですし。
ここで10兆円出したところで財政がすぐに危険な状態になるわけでもありません。しかし、このような積極財政主義を続けると当然のことながら危険になるわけですが、積極財政主義者はそのような危険の存在すら否定するので問題なんですよね。

ライマリーバランスについての誤り

プライマリーバランスの均衡なんぞ要らない、意味ない、という人が目に付くようになっていますが、「この人たちはあまり学ぼうとしてないのではないか」と私は思っていたのですが、実はオピニオンリーダー自身がそう言っているので驚くとともに、暴論を吐く人が増えた理由も分かりました。。プロ自身がそう言っているのですから。
積極財政主義者がよく持ち出すのはドーマー条件ですが、その人は、「プライマリーバランスの均衡はどうでも良い。無意味。名目成長率より名目金利が低ければ良い」と書いていました。
ぶっちゃけた話が間違いなんですよね、これ。
http://secwords.com/%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%90%86.html
名目成長率>名目金利、をみるならプライマリーバランスの均衡が必要です。
そのプロの人のエントリを早速賛成リツイートしている人たちが結構いたのですが、中身を読んだのでしょうか?
読んで誤りに気づかないということは、ドーマー条件を知らずに積極財政主義を奉じているのでしょうか。
もうそろそろこういういい加減な言説を止めにしてもらいたいと思うのですが、積極財政主義者は何故か必ずこの手のことを言うのですよね。
別の人は、「金融政策は雇用に効き、財政政策はGDPに効く」などと矛盾しきったことを言い出していますし。
「はぁ?」という感じでかなり嫌気が差しました。
経済学自体は素晴らしい洞察のある分野だと思うのですが、経済学者や民間エコノミスト、経済評論家はほぼ必ずポジショントークででまかせを言うので、経済学の素晴らしさが世間的には無意味になっています。
実際、「賃金の下方硬直性」を問題視していながら最低賃金を上げる方が良い、という矛盾だらけの政策がまかり通っていて、そういう下らないことを提言するのが本職の経済学者ですからね。
安倍政権が10兆円の補正予算を言い出した裏に、「プライマリーバランス無意味論」があるのだとしたら非常にまずいですね。
身近にいる経済学者に、「正直に言っても怒らないから経済学的に妥当なところを言ってごらん」と優しく話しかけて、イエスマンの経済学者に率直な話をさせる方が良いのではないかと思います。