公務員給与引き下げをめぐる葛藤

維新の党と民主党がもめているとか。維新の党が屈して終わるんでしょうけど。

維新に民主「嫌なら出ていけ」…公務員給与上げ
2015年12月23日 16時48分 読売新聞
 公務員給与削減を看板政策に掲げる維新には改正案への反対が根強いが、官公労から支援を受ける民主党が賛成を求め「踏み絵」を迫っている。
【略】
 民主党幹部は「嫌なら統一会派を出ていけということだ」と強気だ
 改正案は8月の人事院勧告に基づき国家公務員一般職(行政職)の2015年度の年収を平均5万9000円引き上げる内容で、来年の通常国会に提出される。

公務員給与の削減という目玉をなくすと、維新の党の存在意義はますます無くなって、民主党の中に埋没してしまいますが、次の選挙で民主党が勝てる見込みもないので、共倒れの泥船になります。
日本の公務員給与の水準は、どういうわけか民間に比べてはるかに高いのですが、それをさらに上げないと「デフレに陥る」と主張するのがリフレ派国会議員。


公務員の給与を下げると民間の給与が下がるメカニズムや、そうなった事実を示してほしいところ。
公務員給与は建前上、民間の給与水準を参考にして後ぎめしているはずなので、金子議員の主張は非常におかしなものです。
また、給料が下がるとデフレになるという考え方は共産党と同じなのですが、有権者1億人の社会で、たかだか250万人の給与が下がるとデフレになるという理路を示してほしいものだと思います。
大阪市では実際に公務員給与を下げたそうですが、大阪の景気が悪くなったんでしたっけ。
最近、「リフレ派」という概念そのものが有害だな、と思い始めたのですが、金子氏のように経済に本当は詳しくないのにも関わらず「詳しい」という世評を得てしまい、単なるポジショントークが学問的根拠があるもののように広められているのがその理由。
景気回復やデフレ脱却に金融政策が有効であるのは経済学では常識でしたし、日本でも政治家や国民にも認知されつつあるのですから、「リフレ派」という特殊な概念はもう役割を終えたと見るべきでしょう。
現状では、リフレ派個々人の社会的利害に「リフレ派」という看板や、「経済に詳しい集団」という世評が利用されてしまっていますね。
リフレ派の問題点は、まともな批判者がいないこと。
批判するのが池田信夫とか山田厚史みたいなトンデモしかいない、というのが社会の不幸。
リフレ派議員や在野リフレ派は、事実や理論に照らしても相当に怪しいことをいう政治集団に成り下がっていますから、きちんとした批判を加える必要があります。
彼ら自身は自分の利害でいつまででも自分の主張を曲げないでしょうから、批判をしても主張内容が修正されることはないのですが、それらの主張は根拠をもって批判できるのですから、やらなくてはいけません。
いくら消費税に反対であるとか金融政策支持とかいう美点があったとしても、ウソをついていることには変わりないのですから。