某氏、リフレ派を脱退か?

「年寄りと貧乏人を得させたくないので所得税率はフラットがよい」という持論の某氏が数式やグラフや専門用語を羅列して人々を攪乱する手法に出ております。
対三橋戦でつちかった、矛盾と欺瞞を発見する能力を駆使して批判してみたいと思います。
私はこういうときリンクを貼るようにしているのですが、この人物の書く論説はだいたいいつも、「他人の足を引っ張ってやるぜ、邪魔してやるぜ、制圧は無理でも状況をコントロールしてやるぜ」という悪意に満ちていますし、リンク先を読んだ人が逆に攪乱されてしまう危険性があるので、フェアな手法ではありませんが、引用もしません。
某氏の主張は以下のとおり。

  • 2015年7〜9月期のデータでは消費がふえているので、給付金政策が必要とは言えない。
  • 設備投資が下がっているのは、企業の予想収益率が下がっているからである。
  • また、企業による売上数量の見通しが立たないことも原因である。
  • 企業の売上数量みとおしは、予想実質経済成長率に連動すると考えられる。
  • 黒田日銀による異次元緩和をしても、予想実質経済成長率は伸びていない。
  • (某氏による暗示)つまり、金融政策は予想名目経済成長率の引き上げをすることはできない。(誰を腐しているのか、わかる人にはわかりますね。)
  • 異次元緩和によって、企業のフリーキャッシュフローはむしろ増えた。つまり、設備投資に回っていない。これは「長期停滞論」の状況に該当する。
  • 長期停滞のクルーグマンによる解釈では、これは「臆病者の罠」である。予想インフレ率が上昇しても設備投資をしないのであれば、財政出動が必要である。
  • クルーグマンは変節したのではなく、金融緩和の強化と財政出動を提案しているのだし、これはサマーズとも共通する意見だ

盾から指摘しましょう

某氏は「給付金政策は必要ない」と述べていますが、そのあとで、「企業による予想収益率の低下や、売上数量みとおしが立たないことが、低調な設備投資につながっている」と述べています。
あれ?
企業の収益率や売上数量を好転させるには、給付金が適切だと思うのですが?
クルーグマンやサマーズが推奨する財政政策は、公共事業なんですけど。
経済の長期停滞論を乗り越えて :日本経済新聞

公共事業を行うと、たしかに関係する企業の収益や売上数量は好転すると思いますが、もっと広い範囲の企業の業績を好転させるには、給付金の方が良いと思うのですが。

ぎに欺瞞について

論説の最後のほうで某氏は、クルーグマンの処方箋とサマーズのそれは同じだ、と述べています。
これは間違い乃至ウソですね。
サマーズが推奨するのは、公共事業と構造改革であり、金融政策の拡大には否定的です。
サマーズ氏の「長期停滞論」
世界的な貯蓄・投資の不均衡とその影響
サマーズが構造改革を主張するのは当たり前で、「長期停滞」は構造問題だ、と述べているのですから。
長期停滞論の問題意識は、リーマンショック以前、2002年ごろからアメリカ経済は本質的に停滞を始めていたのではないか、というものです。
某氏が主張するように、これが日本に当てはまるとなると、日本の現在の「停滞」(私は好転していると思いますが)は、金融政策の失敗によるデフレが問題ではなく、構造問題だ、財政支出の不足だ、ということになってしまいます。
おや、どこかで見たような・・・
この論法は旧日銀を支持していた、いわゆるデフレ派のものですよね。懐かしい。
某氏はリフレ派とみなされていたはずですが、どういう事情かでぐるっと回ってデフレ派になってしまったのでしょうか?
「知らぬまに」リフレ派卒業ですか。
いきなり卒業するんじゃなくて、ファンにきちんと告知してお別れコンサートでもやるべきではないのでしょうか。