妥当な黒田総裁の発言

7〜9月期の四半期GDPはまだ一時速報なので、その内容から景気を判断するのは不適当なんですけれども、ものごとには旬があるので、とびついて話題づくりする人が多いです。
今回のGDP速報をうけて「リセッションである」と機械的に反応する人が多いですが、リセッションの定義は曖昧なので、2四半期続けての低下をうけて判断するのは拙速であります。
経済学に詳しい人や「専門家」には言わずもがなのことだろうとは思いますが。
また、在庫の減少を勘定に入れると、むしろ需要は増加しているんじゃないの、という見方もできるので計算してみるのも良いかもしれません。
こういった意味では、今回も追加緩和が見送られたのは、まず普通の判断だと思います。
日本の成長が緩慢なことをうけて、「長期停滞」に日本があるのではないかという説が述べられ始めていますが、これは非常に疑わしいものであります。
予想インフレ率の上昇にも関わらず企業の予想実質成長率が上がらないのだとしても、インフレ目標を引き上げれば済む問題でしょう。
インフレ目標をあげれば、予想実質金利がさらに下がるのですから、投資を促進するでしょう。
また、名目GDP成長予想に根ざして金融政策を行うときに、実質成長率が伸び悩んでいるのであれば、現在実施している2パーセントインフレ目標を上回るインフレ率を許容する金融政策を行えば良いのですから、同じことが言えます。
それに実質金利がマイナスで有り続けるのに、それでも投資が引き合わないという状況が本当にあるのでしょうか?
いくら予想収益が低いにせよ、実質金利はマイナスなのですから、投資が行われないというのは考えにくいです。