最低賃金制は有害である

朝まで生テレビ」において高橋洋一氏が「最低賃金制には害がない」とかるく断言していて、経済学の教科書に載っている内容を学者がかるく否定していることに驚いたんですけれども、検索してみたらこんな記事がありました。
【日本の解き方】収拾がつかない最低賃金論争 金融政策で雇用増、持続的な経済成長が解決の近道 - 政治・社会 - ZAKZAK
2年くらい前の記事なんですが、意見が変わったようですね。
最近の氏は発言内容のいい加減さが目立つんですけど、メディアにリフレ派として出る以上、問題がありますね。
最低賃金については最近、クルーグマンのこの記事が話題になりました。
クルーグマン「最低賃金を引き上げよ!」労働市場は他の市場と違う。常識を覆した経済学の”知的革命”(ポール・クルーグマン) | 現代ビジネス | 講談社(3/4)
この中でクルーグマンは、「20年前に最低賃金の伝統的見方をくつがえす研究がなされていた。だから最低賃金を上げるべきだ」と書いているんですけれども、経済学の伝統的見方をくつがえすほどの決定的な研究結果ではなかったからこそ、いまでも経済学の教科書には最低賃金制が有害であると述べられているのであります。
クルーグマンの政治的な発言を一般性のあるものとして飛びつく人が日本には多いんですけれども、クルーグマンのファンでありながら、彼が政治的な人間であることを知らないんでしょうか。
私は氏の考え方にはあまり同調しないんですけれども、それでもファンの人たちよりはクルーグマンの記事を読んでいる気がします。
ランクルーガーらの研究がさほど決定的でなかったという旨は上記の高橋氏の記事にも出てくるのですが、マンキュー経済学に書かれています。

マンキュー マクロ経済学 第2版〈1〉入門篇

マンキュー マクロ経済学 第2版〈1〉入門篇

この本の112ページに書かれていますので、どうぞ立ち読みかなにかで確かめてください。
この話題に関する大竹文雄氏の記事が2007年の日経に載っていたようなんですが、元記事が消えているので、とあるブログにリンクを貼らさせていただきます。
90年代以降の実証研究のうち、3分の2がクルーガーらの研究結果に否定的であるとか。どの辺が知的革命なのかクルーグマンに訊いてみたいですわ。
最低賃金が有害であることを示した日本の一例。
http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0355.html
安倍政権は名目GDP600兆円を達成するために最低賃金を上げるとかいう適当な政策をやるそうなんですが、そういうことを言っていると「ああ、選挙目当てのスローガンなんだな」と思われても仕方ないですね。
GDP600兆円も本気で達成する気はないんじゃないかと思えてきます。