消費増税しても「景気拡大」はする

個人的には消費増税に反対なのですが、今の安倍政権は、経済的にどうこういうより、政治的に再増税は不可避だと考えているようです。
なんとか再増税を避けられるイベントが起きて欲しいとは思いますが、仕方なく増税が行われたとしても、安倍政権以外にまともな経済政策を実施できる政治勢力は存在しないので、消極的に支持し続けるわけですが・・・
ただ、次世代の党をはじめとして、野党が消費税反対を叫べば、得票を増やすことができると思いますので、そうやって勢力を伸ばして欲しいとは思います。
ただし、それをやると「みんなの党」がやられたような攻撃を受けることを覚悟しなければなりません。
さて、最近のリフレ界隈では、「四半期GDPの前期比がマイナスだとリセッション」というトンデモ説が定着していますが、リフレ界隈の人たちは教科書をはじめとして経済本を広く読んでいるはずですし、なかには専門論文まで読んでいると匂わせている人もいるくらいなのに、実に不思議なことであります。
四半期GDPで景気判断するなど、むしろ「不適切である」と経済学本では教えられているはずですし、前期比だけで判断するのが不適切であることは、初級経済学教科書の最初の方に出てくる考え方を読んでいればわかることだと思うのですが・・・
なぜこんな不可思議な現象が発生しているのか知りませんが、このトンデモ説に従うと、「消費増税しても景気は拡大する」ということになってしまいます。
2015年の4〜6月期に四半期GDP前期比がマイナスになったことをうけて、「リセッションである」とか「消費税のせいである」と言われたわけですが、消費増税は2014年4月ですから、2015年4月にはもう、直接の影響はなくなっています。
消費税による強制的物価上昇は2015年3月までですから、4月以降については「消費税のせいで消費が低迷している」としか言えず、変化の理由にはなりません。
そのうえでデータを参照すると、なんと2014年10〜12月期と、2015年1〜3月期には、みんな大好き四半期GDP前期比が上昇しているではありませんか。
経済指標ダッシュボード:日本経済新聞
この期間は消費増税による強制的物価上昇の影響が直接ありました。
四半期GDP前期比で景気判断できるという立場からは、「消費増税して直接の影響があっても景気は半年間も拡大し続ける」ということが確認できてしまうわけであります。
半年我慢すれば景気拡大するかもしれないのですから、この立場からは「消費増税はたいしたことない」という結論が導かれることになりますね、事実によって。
単なる意見とか理屈ではなくて、事実によって示されてしまいます。
これでも四半期GDPで景気判断しますか?*1

*1:ちなみに、2013年10〜12月期も前期比マイナスなので、消費増税前にもなぜかリセッションが発生していたということになり、ますます消費税無害論を勇気づけることになります。