農協改革いまだ成らず


農協改革ができていないのは、TPPの内容が中途半端なものだったことから分かることなのですが、ダメ押し的プロパガンダを実質賃金メガネにやらせているようなので、農協改革なんぞできていないことを確認しておきましょう。

農の株式会社化は問題だ」

単なる選択肢の一つ。するかどうか判断するのは農協。
農協は、独占禁止法が適用されず、法人税が安く、固定資産税も免除。このような特権を株式会社化で手放すはずがない。

合員や国民全体のために事業を行う協同組合が農協だ」

農家ではない准組合員の方が多い状態。
また、農協から提供される資材や肥料が高いので日本農業のコスト高、ひいては農産物の高価格の原因になっている。

農は協同組合だから、グローバルなビジネスを展開できない」

協同組合だから展開できないのではなく、競争制限によってコスト高を招いているので競争に負けるというだけ。

本の畜産業に安定的に(かつ、安価に)配合飼料を供給するため、バイイングパワーを高める努力をしているのが農協」

農協が売りつけている農機具・肥料・飼料・農薬は、アメリカの2倍の価格。原料などは同じ。

外の農協と日本の農協は同じ」

日本の農協は特異である。
欧米の農協は、農産物の販売・資材購入など、それぞれの業務に特化している。日本の農協はあらゆる事業を総合的に行っている上、銀行業務の兼務も特別に認められている、非常に特権的な集団。

協は食料安全保障を担っている」

農協は食料安全保障をおびやかしている。減反政策によって耕作放棄された土地が水田の4割にもなっているのは農協の責任である。

料安全保障を破壊してまで「利益最大化」を求める農業は、国民農業ではない」

これはまさに農協につきつけたい言葉。価格つり上げのために耕作放棄をさせている集団は、利益最大化のために食料安全保障を脅かしている。
コメの価格が上昇すると、コメを販売する農協に入る手数料も上昇する。

米は植民地にプランテーションをつくり、モノカルチャーによって飢餓を引き起こした。日本はちがう」

日本の朝廷や幕府による年貢のための稲作強制を想起せよ。

豪などの天候不順で農産物の対日輸出が滞ると、たちまち日本国民が「飢える」事態に陥ることになる」

世界的な天候不順が発生したら、日本の収穫も低調になるので同じことである。

協の金融部門が農協を支え、日本農業を支えている」

JAバンクは我が国2位のメガバンクだが、農業への融資は1〜2%しか行っていない。3割は准組合員(非農家)への融資、残りは農林中金によってウォール街などで運用している。(たしかにグローバルである)
保険事業では、日本最大手の日本生命と肩を並べる規模。
農協こそ、資本主義を利用して発展した組織である。

協の准組合員が多いのは、災害の多い日本では分散して住まなくてはならず、生活インフラとして農協が必要だから」

経済成長率の低い過疎地に人口が滞留すると、結果的に日本全体の経済成長率が低くなり、それはすなわち、国民所得が伸びない原因になる。