ユーロ離脱より緊縮を選択したギリシャ


ドイツは一時的にユーロを離脱する選択肢を与えていましたから、今回のチプラス政権による緊縮財政の選択は、今後言い訳が非常にしにくくなったという点で、これまで以上にギリシャを縛るでしょうね。
ギリシャ国民が怒ってチプラスを選挙で落としたとしても、緊縮財政は法律にのっとって執行、緊縮の代わりに受け取った支援を手放せるはずもなく、ギリシャ国民は打つ手がありません。
民営化や労働市場改革はともかくとして、年金削減や増税はいっそう景気を悪くしますね。
「この案で経済成長する」などと白々しいことをドイツが言っていますが、するわけないです。
国家共同体、共通通貨の恐ろしさを痛感いたします。
ECBによる金融緩和がギリシャにも好影響を与えてくれることを願うばかりです。

ギリシャの緊縮の奇妙さ

ギリシャがやらされる構造改革と、それに伴う緊縮財政のおかしなところは、それらがひたすら借金返済のための算段に過ぎない、という点にあります。
EU中核国が押し付けてくる構造改革・緊縮財政が借金返済のためでしかないのは当然ですが、ギリシャ政府が自国の非効率性を修正しようという主体性が感じられません。
そういう主体的な決定すらできないシステムなのかな?
チプラス政権は左派なので、経済を効率化するという発想がないのかもしれません。むしろ、田中角栄以降の日本のように、意図的に非効率化して経済成長率を落とす性向をもっているのかもしれません。
経済を効率化する発想を根本的に持っていないとなると、ユーロから追い出されたらギリシャが成長できない全責任がチプラスの上に降りかかってきてしまいますから、そんな事態に陥るよりはユーロに残って、支援を受けながら、「犠牲者」でいられる方がマシなのかもしれません。
EU中核国の「犠牲者」として退陣に追い込まれる方が、政権から転落したあとの人生の見通しも立てやすいというものですし。