ギリシャに必要なのは独自通貨だが…


チプラス政権がそれを求めているかどうかは別の話。
外側からギリシャ国民を心配する立場からは、「本来的にはこういう経済が必要」という考えでいろいろ意見が述べられるわけですが、当のチプラス政権は、「非効率なままで、ユーロ圏から支援を受けて暮らしていたい」と考えているかもしれません。

ギリシャ危機>国民投票と逆の譲歩案 市民「仕方ない」
毎日新聞 7月12日(日)13時30分配信
 ギリシャ議会での財政改革案承認のニュースが伝えられた11日朝。緊縮策反対というチプラス政権が見せてきた姿勢とは反対の結果だが、アテネ市内で市民の声を聞くと「ユーロ圏にとどまるためには仕方がない」という声が多かった。一方で与党内の反発は強く、政権の安定性にはリスク要因となっている。

ギリシャ国民に批判的な側も、同情的な側も、「ギリシャ問題は財政問題」と言っているのには問題があると思います。
ギリシャのようにならないために日本も緊縮財政をしろ」というは、日本には独自通貨があり、金融政策を使って経済規模を拡大できる事実を無視していますし、「ギリシャの例からわかるとおり、緊縮財政を日本はしてはならない」という意見も同じように、金融政策を使って経済規模を拡大できる事実を無視しています。
金融政策を使って経済規模を拡大できるのですから、日本の政府債務が経済に占める割合を低下させることができますし、逆に政府支出を減らした分も金融政策による需要増加によって相殺することができます。
これは単なる意見ではなくて、現実に観察されていることであります。
現実に観察されていることでありながら、何らかの都合によって等閑視されていることでもあります。

リシャには構造改革が必要

どのタイミングでやるか、というのが重要かと思いますが、ギリシャ国民が生活を良くしていきたいなら、生産するモノやサービスの質を高められるような、それら商品をふんだんに提供できるような経済にしなくてはならないと思います。
政府支出や公的雇用に多くの国民が頼っている経済では、「良い商品をたくさん作ろう」という動機は生まれないでしょう。
税金に経済を依存した上に脱税が横行しているようではデフォルトして当たり前ですし、それはユーロにいるかどうかとは関係なく問題であります。
ギリシャはユーロから抜けた方が良いと思いますが、構造改革とそれに伴う必然的な「緊縮財政」を受け入れず、ポピュリズムにはしる左派政権を選び続けるのであれば、ユーロ圏から脱退してもデフォルトを繰り返す国になるだけなんじゃないでしょうか。