財政政策は調節に向いている(と思う。)


GDPの二次速報が出まして、「金融政策一本槍」とか言われつつも順調に景気拡大しているようであります。
1〜3月期に引き続いて、4月のコンポジットインデックスも景気拡大を示していますし、5月の企業倒産件数は25年ぶりの低水準ということで、今のところ、4〜6月期もいけそうな様子。
私などの意見は「金融政策偏重派」とレッテルを貼られるべきものなので、もはやリフレ支持層のコードからもはみ出てしまっているわけですが、だからといって最近の指標をみて勝ち誇るような真似はいたしません。私は嘘つき犬ブロガーほど愚かではありませんし、第一、現在の安倍政権が緊縮財政をしているとは考えておりませんし、財政政策に有効な使い道がないとも考えていませんので。
ただ、金融政策と財政政策を同種同次元に考えている向きが多いことに問題があるとは思っています。
金融政策と財政政策は特徴や働きに違いが有るはずなのに、同じようなものとして、同じような働かせ方をさせようとしてきた考え方が間違っていたのだろうと考えています。
最近のアメリカ、ユーロ圏、イギリス、日本の景気の動向を見ていると、財政政策でデカく全体をプッシュするような方法は有効ではなく、政府債務が積み上がる点で問題があり、逆に消費税以外で財政を引き締めたとしても、それほど害がないことが観察されています。
何の学問的根拠もない単なる意見ですが、財政政策をあれもこれも一緒くたにして「出すか引っ込めるか」という論じ方をしてきたのが不適切だったのだろうと思います。
財政政策は方法によって影響が相当に違うだろうと見当をつけて、勉強していこうと考えています。

費を撃て

今回の二次速報は、数字自体はびっくりするくらい良いものでしたが、民間消費が消費税の悪影響によって落ち込んだままであり、そこが非常に目立ちます。
金融政策は全体をプッシュするのに非常に有効ですが、「消費だけを狙い撃ちする」といった用途には向いていません。
(ということはつまり、金融政策がトリクルダウンだとは思えません。金持ちだけ優遇するのは不可能でしょう。)
部分を狙い撃ちして経済を良くするのに向いているのは財政政策です。全体を押し上げる力が弱い代わりにそのような長所があると思います。
消費を上向かせるのに最も良いのは消費減税ですが、それは当面難しそうなので、期限付き商品券を全有権者に配るのが良いのではないかと思います。

  1. 現金を単発で配っても消費性向は上がらないらしいので、期限内に使わなければ無効になる商品券によって、半年か一年以内に消費してもらう。
  2. 日本の有権者は一億人くらいなので、一人一万円配ったとしても財政資金は一兆円程度で済み、五兆円も十兆円も出さなくて済む。政府債務が増えにくい。
  3. 消費という「部分」を狙う政策ではあるが、世の中のモノやサービスは多様なので、一部だけ異様に価格上昇するとか、品不足になるとかいう弊害が生じにくい。国土強靭化の欠点は踏襲しない。
  4. GDP二次速報を観察すると、設備投資が重要であることがわかる。設備投資を継続してもらうには消費を上向かせる必要がある。実質金利が予想利潤率よりも低くなると投資は行われやすい。(その意味では、浜田参与が提案されている法人減税が有効。予想利潤率を上げる効果が持続する。)
  5. 商品券は作成コストがかかるので、消費者が正味で使える額が減ってしまうが、この政策は国民の生活水準を上げるのが目的ではなく、再分配が目的でもなく、景気全体を押し上げる様々な政策の一つの歯車として提案しているので、問題にならない。作成コストは作成を担当する業界の所得になるので、そのこと自体が経済活動を活発化させる。商品券を電子データで配布する方法も考えられるが、お年寄りにとっては分かりにくい。


と、このようなことを考えています。
金融政策と財政政策は異なる特徴を持っていると思いますし、異なるものを上手く噛み合わせることで効果的になるのだろうと思います。