「食料安全保障」など存在しない。

「保守」を自称する人間が既得権を擁護するときのパターンの一つとして、「既得権+『安全保障』」という言い方をすることが挙げられます。
食料安全保障とか。
そういう言い回しをすると、大国志向を捨てられない保守派の国民が、「大変だ大変だ」と飛びついてくるからであります。
こういう発想がバカバカしいのは、根本的に日本が大国になんぞなれっこないという現実を直視できていないところであります。
いくら青筋たてて頑張ってみたところで、日本の国土が広がったり資源が湧いてきたりするはずがなく、日本が軍事面で大国の条件を満たすことはできません。
それを無理やりやろうとしたのが日中戦争とか太平洋戦争であるわけで、ああいう試みは周辺の大国が絶対許さないのですから、日本が大国になる日は未来永劫やってきません。
諦めるべきことは諦める、という考え方は変でもなんでもなく、世界には190以上の国家があって、その中で大国となっているのは数カ国しかないのですから、日本が大国になれなくてもむしろ自然なことであります。
日本のように国土が狭く、資源がない国において、食料を自給しようというのは非合理的ですし、意味のない行為です。
どんなに努力しても、経済制裁海上封鎖をされたらそれまでです。食料を自給する「努力」は国民をムダに貧しくするだけで、日本を何ら強化しません。
食料、なかんずくコメについて、「日本の国柄」などと如何わしい言葉遣いで神聖視する詐術は何十年も前から多用されますが、コメだけ守っても、原油その他の資源が入ってこなくなったら農業や輸送ができません。
コメをはじめとして、食料を自給することには何の意味もありません。
日本国民を3000万人まで減らして、江戸時代の生活水準にまで落とせば食料の自給自足はできると思いますが、そんなことは現実には不可能です。
チャンネル桜がまたぞろ、「農業改革は日本解体だ」とかアホなことを言っていますが、ああいう不自然極まりない言説を聞くと、「やはり既得権とのコネがあるのかね?」と疑いたくなります。