農業と漁業を逆にすると調度良い

農業と漁業に対する日本社会の論調は、真逆にすると適切になる、というお馴染みの未開ぶりであります。
人為的な再生産が可能な農産物については意図的に生産制限して価格をつりあげ、「価格が下がると生産者が可哀想!」とわめく一方で、自然の再生産に頼るしか無い漁業の乱獲・薄利多売には目をつぶって、「価格を下げるのが消費者の利益!」と叫んでいます。
その結果、農業は非効率になって国民の生活水準を下げながら貿易交渉の邪魔をした上に後継者不足、漁業は天然資源を枯渇させながら、漁業関係者も利益があがらずに青息吐息という状態。
この手の自滅、真反対への逆行、という現象は日本社会では非常によく見られるので、「日本人ってやっぱりバカなのだろうか…」とどうしても考えてしまいます。
日本は先進国なんですけれども、望ましいことの真逆をやって、延々とそれを改めないという性質がとても途上国的です。批判を受けると余計に意固地になってその路線を続行したりして。
合理的な思考が苦手というより、嫌い、という感じです。
その印象は、動機付けに適した状況をつくるのが下手だ、ということにも見られます。
たとえば、二酸化炭素排出量を減らさなければ、という問題が持ち上がった場合に、欧米では炭素税をかけて排出量を減らすように人々を動機づける、というやり方をしますが、日本ではバカな政治家たちが、「深夜のコンビニを禁止しろ」といった統制をやりたがります。
経済政策でも似たような傾向があって、日本人は財政政策には理解を示しますが、金融政策には関心を持ちたがりません。分からないし分かりたくない、という様子です。
財政政策は官僚や政治家の裁量、統制でカネをバラ撒く政策ですし、「カネを出しました。儲かりました。」という単純極まりない図式で理解できます。
しかし金融政策は、経済活動を活発化させるように人々を動機づけるものですし、ルートや段階が多いので、けっこう勉強しないと理解することはできません。
今の経済状況は、消費増税というバカげた財政政策のせいでパッとしませんが、デフレよりはかなり良いものになっており、それは金融政策の成果なのですが、そうであるにも関わらず、関心を持つ人は少なく、敵意を持つ人が意外にも目立つという状態です。
動機づけに適した仕組みを合理的に考える、なんてのは二重三重に、日本人にとって嫌悪を催すものなのかもしれません。