「残業代ゼロ」はマスコミによるお馴染みミスリード

産業競争力会議から出た提言はここに出ています。
個人と企業の成長のための新たな働き方
以下、基本的な考え方の要約。

  • 長時間労働を強要する企業に対し、労働基準監督署による監督指導を強化する
  • 方法としては、労働時間の実績を開示させる、など
  • また、ハローワークでの求人で、従業員の定着率や残業時間のデータを開示させる
  • 労働基準監督署の人員を増やす
  • 成果ベースの労働管理は、業務遂行と健康管理を自律的に行おうとする個人を対象とする
  • その場合、職務内容・達成度・報酬を明確にした契約を結ぶ。業務遂行において個人の自由度を上げる。
  • 一律の労働時間管理にとらわれない仕組みによって、高い専門性を持った人材・子育て世代・介護世代・高齢者・若者の活用を期待する。

このような内容が上記のペーパーの最初の方に書いてあるのですが、これを読んでどうしてマスコミが伝えているような解釈になるのか全く理解できません。

「残業代ゼロ」一般社員も 産業競争力会議が提言へ
2014年4月22日08時01分 朝日新聞
どこまで広がる? サラリーマンの「残業代ゼロ」
 政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)は、労働時間にかかわらず賃金が一定になる働き方を一般社員に広げることを検討する。仕事の成果などで賃金が決まる一方、法律で定める労働時間より働いても「残業代ゼロ」になったり、長時間労働の温床になったりするおそれがある。

青文字部分が、上記ペーパーと露骨に食い違っているのが一目瞭然です。また、「残業代ゼロ」ではなく、最初から契約を結んで残業のない働き方をする提言であるにも関わらず、朝日新聞は大幅に歪めた伝え方をしています。

 いまは部長級などの上級管理職や研究者などの一部専門職に限って、企業が労働時間にかかわらず賃金を一定にして残業代を払わないことが認められている。今回の提言では、この「残業代ゼロ」の対象を広げるよう求める。

この部分もまったくの曲解であることが分かります。
サラリーマンの現在のありかたとは全く違う働き方の提言であるにもかかわらず、今の労働環境を悪い方向に延長するものであるかのように伝えています。

対象として、年収が1千万円以上など高収入の社員のほか、高収入でなくても労働組合との合意で認められた社員を検討する。いずれも社員本人の同意を前提にするという。また、当初は従業員の過半数が入る労組がある企業に限り、新入社員などは対象から外す。

この部分、朝日新聞はゴチャ混ぜにして書いていますが、ペーパーでは「Aタイプ」「Bタイプ」と分けて例を示しているので確かめてみてほしいと思います。朝日新聞が書いている内容とはイメージが全然ちがうことに驚くことになるでしょう。
ホントにまあ、マスコミが日本の癌だわ。