保育園に構造改革が必要な理由

少子化が大きな問題になっているにも関わらず、小学校などは少子化のせいで統廃合が進んでいるにも関わらず、保育園には待機児童が発生している状況がいつまで経っても変わらない、という状態を見た時には、そこにはなにか不自然なことが起こっていると見なければならないですね。
保育園もまた、政官業トライアングルが存在し、規制によるレントシーキングが行われている分野なのです。

  • 待機児童対策は2001年から始まっているが、大した成果が上がっていない。
  • 認可保育園の保育料は安く、2万円程度。それに対して無認可保育園は5万円を超える。
  • 認可保育園に大量の税金を注入しているために保育料が安く、多すぎる需要が発生している。これが待機児童。
  • 認可保育園は税金を注入されているがゆえに非常な高コスト体質であり、各自治体は増やすことが難しい。増やせば財政負担が重くなる。
  • 公立認可保育園の運営費は年間1兆700億円かかるが、そのうち親から徴収できるのは2100億円のみ。残りは税金で穴埋め。
  • 私立認可保育園の運営費は1兆2600億円。親から徴収できるのは3300億円。残りは税金で穴埋め。
  • 保育園の高コスト。公立の場合、0歳児一人あたり50万円、私立の場合、30万円。
  • 公立保育園の建設には当然税金を使うが、私立認可保育園であっても、建物代の大半は税金で負担。
  • 私立認可保育園の9割を占める社会福祉法人では、保育士に低賃金を強いる一方で、園長や理事は高額の報酬を得ている場合が多い。
  • その上、相続税は一切かからない。
  • 社会福祉法人の場合、経営者は自分の子供に相続させる以上の保育園を造る意味がないので、保育園の数が増えにくい構造になっている。
  • これはレントが生じる構造であり、強力な業界団体が形成されている。彼らは既得権益を守るために新規参入に対して反対している。

日本で起こっている社会問題のほとんどは、決して「仕方なく発生している」のではなく、「誰かが起こしている」ものなのだということを私たちは知っていく必要があります。
だから構造改革が必要なのです。
そして、構造改革に、どんな改革についてもゴチャ混ぜにして反対するよう世論を煽る者たちの動機は何なのか、どんな背後関係があるのか推測する必要もあります。