コメントにお答えします【藤井聡】2

といっても藤井氏本人からではありませんけど、当然。(2度め)

>公共事業が供給逼迫を引き起こすと、民需は消えますよ
ある程度の民需がなくなることは私も承知していますが。
「公共事業で作られた需要以上に」消えるのかを私は聞いているのです。
どうもその記事だとそのように書いてあるように見えましたので、まず事実確認を。
その部分を再確認していただければ幸いです。

「公共事業で作られた需要以上に」という部分がいきなり間違いです。
いま問題になっているのは入札不調や工事の滞りによる成長率の見込みハズレ、ということですから、需要が作られていないのです。

>緊縮財政?どこがですか?ピンクのグラフが歳出ね。
歳出増は社会保障費の自然増が大半であり、これは特に積極財政効果を持っていません。
※ただし一部の年度は自然増以外でも増えています

これは奇妙な主張ですね。
公共事業なら積極財政効果があるが、社会保障費なら積極財政効果がない、という根拠は?
社会保障に入るカネでも、医者・医療機器業界・介護業界・保育業界・製薬業界などに回りますから、積極財政には変わりありません。
現実に、「社会保障の充実でデフレ脱却を!」とか叫ぶバカ人もいるくらいですから。
しかし、公共事業だろうが社会保障だろうが、財政政策ではデフレを脱却できません。デフレは貨幣現象だからです。財政政策はカネの付け替えに過ぎません。

>一年前のマネタリーベースの増加率が今年の予想インフレ率に影響すると仮定した」と明記しています。
私は藤井教授ではありませんので、正確に藤井教授の考えを話せているかは分からない、と仮定した上で書きますが
そのPDFに書かれているMBとBEIのグラフ(リーマン・ショック以前)は、タイムラグを加味しても相関していないのは明らかではないでしょうか。

私にはそう見えませんが、相関を調べるにはそれなりの作業が必要なので印象で語るのはいけませんね。

>日本人・外国人の区別を国籍だけで捉えるのは狭すぎます
いや、日本人・外国人の区別は紛れも無く国籍ではありませんか。
人種で区別することとは全く別の話です。
白くても黒くても外国人なら外国人です。黄色くても赤くても日本人なら日本人です。
むしろ国籍に人種的な概念を持ち込むことはレイシズムに傾く危険があります。
>ダメな理由が思い浮かびません。説明してもらえませんか?
私は安全保障の観点から土建分野(特に土木)への外国人への流入は慎重な立場です。
311を見れば分かりますが、災害時の救出と復興の先鋒になるのは、自衛隊と地元の土建屋です。
外国人の場合、災害時には本国に帰国してしまったりする可能性があります(311では実際にそうなった例がいくつもある)
これは自己防衛として当然であり、その外国人の方々は全く責められません。
マキャヴェリも言いましたが、安全保障の基盤は傭兵(外国人)では無く国民軍で賄われるべきです。
土建は相撲と違い、安全保障と密接に関係しています。
自衛隊(軍)が外国人だらけではいかんでしょう。 それと同じです。
基本的に、地域防災は地域の人々がまず賄うべきです。
外国人は、残念ながら外国人であり続ける限りはよそ者ですから、これに期待するのは愚かなことです(むしろ外国人も期待されるのは迷惑)。
全国に広く地域性の高い土建屋を配置し、有事に備えるべきというのが私の考えです。

ここは大変に興味深い論点。
愛国者を自任する人々は、常に「日本とは、日本人とは」を語りますが、日本とは、日本人とは何ぞや、という事柄について思索が足りないように思います。
日本人の定義を国籍に限定するのは狭すぎます。
日本国籍をもち、先祖代々日本人である人間でも、日本人や日本国が大嫌いな人は大勢います。それこそマスコミを見てご覧なさい。
反日マスコミのありさまをみても、国籍がありさえすれば、重要なことにかかわらせる資格があると思いますか?
逆に、外国メディアであるなら、日本人に有益な報道はしない、と考えるのですか?
また、土建分野に外国人を入れることが安全保障の観点から慎重である、という主張にも、私はどうも差別的なものを感じます。
それはつまり、外国人が土建に関わると、日本人を害する意図をもって何らかの作為をするという意味でしょう。
では逆に、公共事業を外国と相互化したとき、あなたが土建作業に関わるとしたら、敵意を抱く国に対する工事では、その国の国民に危害を加える意図で作為を行うのでしょうか?
実に恐ろしいことをおっしゃいますね。
また、東日本大震災時の救援活動で先頭にたったのは自衛隊だけではなく、在日米軍も大きな働きをしました。仙台空港の件はご存じない?
米軍が名誉に思う「トモダチ作戦」と、たった一人の「ありがとう作戦」 | ロケットニュース24
これでも「外国人は信用できないから日本国籍を持つ『仲間』との内輪にこもる方が安心」ですか?
自衛隊が基本的に日本国籍保有者なのは国家公務員だから普通ですが、外国人部隊があっても構わないと思いますよ。実際にそのような部隊を持つ国もあります。
また、日本国籍さえあれば自衛隊に入れて安心という考えですと、日本に敵意を持つあの国とあの国とあの国が大喜びでスパイを送り込んで国籍を取得させ、自衛隊に入隊してしまいますよ。
そして、自国だけで安全保障を賄うという発想は非効率極まりないです。
現状、自衛隊はかなり良い装備や軍事テクノロジーを持っていますが、それは日米同盟があるからであって、日本単独でそれらをそろえる予算や技術はありません。
「地域防災は地域の人が賄うべき」という発想も奇妙です。
働き手は地域の人でなければダメだが、カネは日本全国からかき集める、ということでは筋が通りません。
日本全国からカネを集めて防災目的の公共事業を行うなら、働き手もまた、どの地域の人間でもよいはずです。
もちろん、外国人であっても、それが必要なら構わないはずです。
日本国籍をもってさえいれば手抜きをしない、という証拠があるならともかく、日本人であれ外国人であれ、手抜きをする人はするし、しない人はしません。
もし、日本人の安全に関わる部分に一切外国人を入れたくない、ということであるなら、列車や自動車の部品に外国製品を使うべきでもありません。
そうなると貿易すら制限するべきだという話になります。
ただ、国土強靭派はTPP反対派でもあるので、もしかしたら「外国人は信用できないから貿易もやめるべきだ」と本当に考えているのかもしれません。

>現在問題になっているのは、人材不足からくる賃金高騰
私はさして問題だとは思いません。
賃金高騰が問題というのは消費者の理屈であり、労働者からすれば歓迎すべきことです(労働者は消費者でもあるので、複雑なのですが)。
マクロな視点で見ても、
賃金が高い産業には、他の産業からの人材流入も起きますから、放っておいてもいずれ落ち着きます。
人材育成を積極的に行ったり、外国人労働者を受け入れれば、落ち着くのは早まります。
後者が好ましくない理由は既に書きました、よって、さっさと落ち着かせたいなら前者を採用すべきでしょう。

これまた全くおかしな理屈。
土建労働者の賃金高騰は大問題です。
それは土建労働者の不足を表しており、そのせいで復興住宅の工事などが遅れているからです。
要らない公共事業を突っ込んだせいで、復興作業に支障が出ているのですよ。
賃金が高い産業に人材が流入うんぬん、というくだりにしても、国土強靭化支持者とは思えない不見識ですね。
技能をもった人材が一朝一夕には調達できないからこそ供給不足に陥っているのであり、外国人の助けを借りようという話になっているのです。
「あなたは何を言っているのか?」と言いたい気分です。
現在の問題の所在を把握しておられないようですね。

>手持ちのお金の額が同じで、毎月買っているお米の価格が低下したら、余ったお金を他のことに使うという意味
この仮定は成立しません。
なぜなら手元に余ったお金を全て使う保証などは無いからです。
お金が全て使われれば物価は低下しませんが、一部でも使われなければ、物価も低下します。
消費性向から見れば、お金の一部は必ず貯蓄に回されるという厳然たる事実があります。

おお、あなたは意図的な誤読をしていますね?
私は「余ったお金」と書いたのであって、余ったお金は新たな所得ではありませんよ?
昨日のエントリでも書きましたが、消費性向とはまったく関係ありません。
あなたの言い分だと、利用しているモノゴトの価格が低下しても余ったお金を使わないということになり、消費性向が下がってしまいます。
実に奇妙です。
たとえばあなたが毎日吉野家の牛丼並盛を食べているとして、その価格が400円から280円に下がった場合、どういうわけかあなたの消費性向も下がってしまうことになります。
どうしてですか?牛丼並盛の価格とあなたの消費性向が何故リンクするのでしょう?
ここが分からないので説明してほしいと思います。

>価格の低下がデフレにつながるなら、中国から物品を大量に輸入している国は全部デフレになってしまいます
デフレになる・ならないは中国からの物品輸入だけでは決まりません。
しかし「コストの高い国が」「コストの安い国から」製品を大量に輸入すると「デフレ圧力」はかかるでしょう(実際にデフレになるのかは他の要因にもよるが)。
例えば北朝鮮は、中国よりもコストの安い国ですから、中国から無理に輸入することは、インフレ圧力がかかると言えます。
日本の場合、大量の途上国製品が氾濫することは、純粋にそれぞれの価格の下落だけではなく、国内の労働者の賃金にも下方圧力を与えますから、デフレ圧力はかかるでしょう。
もし個別の価格が物価に影響を与えないのなら、オイルショックによるインフレなど起こらないということになってしまいます。

これも残念ながらまったく間違いです。
理論的に考えるまでもなく、中国と大量・多額の貿易をしている先進国はいくつもあるわけですが、その中でデフレに陥っているのは日本だけです。
中国から安い製品を輸入してもデフレにはなりません。
繰り返しますが、デフレは貨幣現象です。
最後のオイルショックによるインフレうんぬんも間違いなんですね。
日本では2度のオイルショックがありましたが、酷いインフレになったのは1度目だけです。
その理由はインフレもまた貨幣現象だからです。
最初のオイルショックで悪性インフレになったのは金融政策を失敗したからであって、原油価格のせいではありません。
戦後昭和史 - 消費者物価指数の推移