リフレーションと消費税の正面衝突

消費増税前の追加緩和はない、ということが決まりました。
当面の金融政策運営について
あとあと祟らなければいいですが。
こういう態度が「デフレ脱却に対して消極的だ」と市場から評価されると、マズイ反応が出てくることもあるかもしれません。
11日の株価は少し上がっていますが、円が安くなったり、アメリカの株価が高めに推移していたりするので、日銀の発表を受けて上がったのかどうか分かりません。
大して上がっていないと見るなら、日銀の発表に良い評価を持っていないという解釈もできます。
2013年11月以降の日本の為替レートや株価は確かに良い感じで安定しているので、追加緩和をする必要がないと判断しても変ではないと思いますが、異次元緩和を始めたころとは海外情勢が変化しているので、その辺について慎重であるべきだったように思います。
アメリカの雇用は量的緩和縮小にも関わらず、2月については良い数字が出ていました。株価も高いです。ただ、マネーストックの増加が鈍っているという指摘があり、引き締め気味になるのではないかという虞れがあります。
中国はバブル崩壊を軟着陸させるために引き締めを始めているという観測があります。もちろん良くわからない国ではありますが。
新興国は、アメリカの量的緩和縮小と中国の減速の煽りを受けて、経済活動が低下しているようです。
ユーロ圏は相変わらずデフレに向かってじわじわと落ちていっています。
それに加えて先日のウクライナ問題。
ロシアが侵攻するのではないかと報道されると、資金が円に逃げ込んできて一時的に円高と株安になりました。
ロシアは金利を上げて資金が逃げるのを防いだとのことですが、金利を上げると経済が停滞する可能性もあります。
海外情勢がこれらのように、一年前には織り込んでいなかったマイナス要因にあふれているのですから、ここに消費増税というショックが加わるのは恐ろしい感じがします。「金融政策で消費増税は相殺できる」と思っていた私も、外国の情勢がこんなふうになっても何もしないということは考えていなかったので、今回の日銀の決定には少し血の気が引く思いです。
追加緩和を判断する時期として、5月と8月が挙がっているようなのですが、5月に発表される2014年1月〜3月期のGDP統計はいい数字がでるかもしれません。
2013年11月ごろから円と株価が持ち直しはじめて、今に至るまでまぁまぁ良い水準を保っていますし、消費増税前の駆け込み需要があったと思います。
しかし、消費増税後の4月〜6月期のGDP統計が悪かった場合、それが発表される8月まで追加緩和も何もしない、ということになると、増税後の経済停滞が5ヶ月ほど続くことになり、これは安倍政権にとっては大きなダメージになることでしょう。5ヶ月の間マスコミは経済政策を叩き続け、国民の間に「アベノミクスは見掛け倒しだった」というイメージが定着してしまう危険性があります。
今回思い切って追加緩和をしなかったことで、またも不透明な先行きになってしまう可能性は五分五分という感じでしょうか。