消費増税を叫んだマスコミが「消費下支え」を叫ぶ

7〜9月期のGDP成長率が減速したことをうけて、毎日新聞がこう言っています。

<GDP>解説・高水準維持も減速 消費下支え不可欠に
毎日新聞 11月14日(木)12時37分配信
 7〜9月期の国内総生産(GDP)は年率換算1.9%増と4四半期連続のプラス成長で、1%弱とされる日本の潜在成長率よりも高い水準を維持した。ただ、安倍政権発足直後よりも成長率は減速しており、「アベノミクス」の効果を持続させ、景気を持続的に成長させるためには、個人消費の下支えや企業の設備投資を促すような政策が求められる。

個人消費を増やす必要性など誰でも分かっていますが、こんな記事を出すなら、どうして消費増税に賛成したのか説明を求めたいところ。
マスコミの数ある問題点の一つに、「批判はするが説明はしない」ということが挙げられます。

また、個人消費を下支えするには、賃金が上昇するかどうかも大きなカギを握る。安倍政権は企業側に、賃金を底上げするベースアップ(ベア)の実施を求めており、具体化するかどうかも注目される。【丸山進】

相変わらず、「1-1+1+1=2」みたいな計算をしていますが、賃金を上げるかどうかは元来、個々の企業が決めるべきことであって政府が容喙することではありません。
日本も一応は自由な国なのですから。
政府ができる個人消費の下支えは「消費増税をしない」ということだったのですが、マスコミは増税は煽っておきながら、本来政府の仕事ではない、「賃金アップの要請」をするように求めるという転倒した主張を繰り広げています。
増税による歳出権や裁量の増加、賃金上昇への介入要請など、マスコミは統制経済を志向しているように思えます。
ただ、この記事で良い点が一箇所。

個人消費の伸びは前期比0.1%増と4〜6月期(前期0.6%増)から鈍化したが、株価上昇を背景にした資産効果が一服したことが要因の一つだ甘利明経済再生担当相も記者会見で「主要な原因は株価の一服感。それが消費マインドに影響しているのではないか」と述べた。来年4月の消費増税を控え、年度内は駆け込み需要で再び拡大していくとみられる。

これはつまり、「資産市場の好転が実体経済の好転を招来する」ということを毎日新聞も認めたということです。
ちょっと前までは、「株価が上がっても金持ちしか得しない」などと言っていたことを思えば、長足の進歩を遂げたと言えるでしょう。