公共投資拡大⇒GDP伸び率減少

昨日の動き

記録しておくべきかな、と思うことが幾つか。

  • イエレン氏議会証言⇒アメリカの株価指数上昇
  • 日本の7〜9月期のGDP発表
  • ドル円が100円に下落
  • 株価が309円高の1万4876円。本日15日は1万5000円超で開始


イエレン氏がリフレ姿勢を強く打ち出したことで、「アメリカの資産市場がさらに活発化⇒実体経済の回復への期待」からドルが買われ円安になり、日本の株価上昇、ということなのかと思いますが、いろいろ記事を読んでいても分析はバラバラです。
日本のGDP統計の「伸びている」面が評価されて日本の株価が上がったという解釈も可能ですが、「伸びていない」にも関わらず円安で株価が上がったという見方もできます。
「伸びていないから日銀が追加緩和をするという予測が出て、円安・株高になった」という、ブルームバーグの分析はさすがに無理があるように思いますが。
そういう分析ってどうやって得ているのか不思議に思います。市場関係者にインタビューでもしているのかな?
今回のGDP統計を見て、日銀が追加緩和に動けばそれにこしたことはないと思いますが、来月の修正値を見ないうちから動くとは思えません。

共投資が増えてもGDP伸び率は低調

7〜9月期のGDP伸び率は、修正前の現在、年率換算1.9%であり、前回の3.8%を比べるとかなり減速しています。
一方で公共事業は6.5%増であり、前回の4.8%を上回っています。
つまり、前の四半期よりも公共事業は増加したにも関わらず、実質GDP伸び率は大幅に下落したということです。
修正が入って1%くらいGDP伸び率が増えたとしても、やはり前回よりは落ちることになります。
公共事業以外の要因が大きく絡んでいると考えるのが自然です。

GDP・公共事業・資産市場の推移

これまでのGDP伸び率の流れは、

  • 1〜3月期の実質GDP伸び率は、年率換算で4.1%
  • 4〜6月期は、3.8%
  • 7〜9月期は、1.9%


でした。
公共事業は、

  • 1〜3月期⇒前期比0.4%増
  • 4〜6月期⇒4.8%増
  • 7〜9月期⇒6.5%増


でした。
…あれ?
公共事業の伸びと実質GDPの伸びがなんですが…
一方、金融政策と関係の深い資産市場。
まずはブレーク・イーブン・インフレ率(=予想インフレ率のひとつ)

野田解散=アベノミクスの実質的スタートである2012年末から急上昇し、2013年5月に急落、それ以降は平板な感じになっています。
次は日経平均

2012年末から急上昇し、2013年5月に急落、少し戻して以降は平板な感じ。
そしてドル円

2012年末から急激に円安になり、2013年5月に強い円高傾向、少し戻して平板。
さてさて。
これらを比べると、GDP伸び率の、「1〜6月までは急上昇、7月以降に減速」という流れと近いことがわかります。
「資産市場の回復する勢い」があるときにはGDPも上昇、資産市場の勢いが止まるとGDP伸び率も下がる、ということが言えます。
資産市場の水準というよりは、「勢い」や「これから好転する機運」が関係しているのだろうと思います。
公共事業のように、真逆に見える関係とは対照的です。
GDPの伸びには外国の景気なども関係するので短絡はできませんが、少なくとも、「公共事業をやると実質GDPが伸びるが金融政策は効かない」という藤井聡の意見は間違っています。

金利は?


2012年末から下落、4月くらいから上昇、7月くらいから下落、という感じです。
GDP伸び率との関係は分かりにくいです。
ひとつ言えるのは、「長期金利が下がってもGDPが伸びるとは限らない」ということです。場合によりけりですね。
長期金利と関係が深いと一般には言われている住宅投資は、

  • 1〜3月期⇒前期比1.9%増
  • 4〜6月期⇒0.3%増
  • 7〜9月期⇒2.7%増


で、四半期ごとにみると関係あるように見えます。
ただ、「住宅投資が伸びてもGDPが伸びるわけではない」と言えるような気がします。
こうして見てみるとやはり、「金融政策にあたって長期金利は気にするな」と言い張ってみたいと思います。
住宅投資が経済に与える影響は大きいのだろうと思いますが、必ずしも経済全体を牽引しているようには見えず、その一分野を伸ばすという理由で長期金利を「抑圧」することが、はたして正当化されるであろうかという疑問があります。
もちろん、「抑圧」できるという考え方そのものにも非常に疑問があります。