「賃上げ空気」の醸成で日本復活?

なーんてあるわけない。
賃上げ圧力に応じる企業があると大仰に取り上げられるでしょうから、世の中ぜんぶがそちらに流れていくような印象をもってしまいますが、実際に応じる会社の割合は少ないだろうと思います。
無い袖は振れません。
しかし、雰囲気に流されてしまう経営者がいないとも限りませんから、業績が良化していないにも関わらず、先んじて賃金を上げてしまう例もあるかもしれません。
そんなことをしてしまうと、消費増税でコストアップして、賃金アップでコストアップしてしまいますから、その会社の経営は悪化し、それ以降の賃上げはストップするか賃下げされ、リストラの危険性が高まり、新規採用は減少するでしょう。
それによってデフレが悪化するほど空気に流される企業があるとは思えませんが、いくらかの人々は自民党の非合理な経済政策の煽りで生活が悪くなるでしょう。

間に責任を押し付ける甘利大臣

経財相、賃上げしない企業「恥ずかしい環境作る」
2013/10/19 20:54
 政府・日銀が掲げる物価上昇率目標と消費増税を念頭に「ダブルで物価が上がって賃金がいつまでたっても上がらないと景気は失速する。賃金が上がらなかったら我々は失敗だ」と強調した。

消費増税自民党の失政なのですから、賃上げに応じない企業が有ったとしても、それを批判する資格は甘利大臣にはありません。
企業がいくら儲かっても、それを賃金に回すかどうかは経営判断の自由であって、政治家が介入するものではありません。
共産党が介入を主張するのは、彼らがそのような主義を持っているからなので筋が通っていますが、自民党は一応、「自由」を標ぼうする集団なのですから、共産党と同じようなことを言ってしまっては辻褄が合いません。
自民党の悪政の尻拭いに、民間企業が経営の自由を奪われたり、業績悪化の危険を冒さなくてはならない筋合いは有りませんね。
甘利大臣の発想は、「政治の都合によっては統制経済も辞さない」というもので、国民の自由を屁とも思わない本音が見え隠れしています。

上がそんなに頼れるものなのか?

企業業績が上がっても賃上げにつながらない理由は、失業率が高いからです。求人倍率の低さも同じ意味で影響します。
以前より収益が上がったとしても、安い賃金で雇える勤労者がいくらでもいる状況では、賃上げするより新たに雇う方が合理的ですし、そういった判断ができずに「人情で」賃上げしてしまう経営では困ります。
既に雇われている人たちや、労働組合の構成員にだけ得をさせる「賃上げ先行」は、失業している人たちが職を得ることを妨げてしまいますから、社会のことを顧慮しないエゴイスティックな考え方だといえます。
共産党の企業敵視は困ったものですが、それに同調する「空気」が日本人の中に濃いのはもっと困ったものです。
企業が労働者にカネを出さないなら、政治権力をつかって取り上げてしまえ、という野蛮な発想ですが、悪政ゴリ押し自民党も非常にみっともないことながら、共産党の尻馬に乗っています。
こういう愚劣な現象に喝采を送る人たちが持つ、「企業は信用できないが、政府は信用できる」という前提は実に不思議で、不況下に消費増税をやらかすような官僚や政治家の判断が、そんなに信頼できるものでしょうか?
民間企業に官僚や政治家が介入すれば経済が上手くいって、国民の生活が良くなるとでも?
連中は天下り献金集め・子女のコネ入社し放題なのに?
私たちの考え方の基盤に、いつのまにか社会主義的な発想が根付いてしまっている影響なのかもしれませんが、「お上は優秀・なんとかしてくれる」という思い込みは単なる思い込みに過ぎませんので、ちょっと立ち止まってみる必要があります。