【リフレ政策】現実が見えないらしい「辻元」さん

アゴラというデマ垂れ流しサイトで御活躍中の辻元さんの妄言がだんだんと酷くなるので、中和しておく必要があるでしょう。
http://agora-web.jp/archives/1544705.html
アメリカのQEについての御意見。

金融緩和は、金融資産を持つものを富ませ、格差を拡大します。その一方、インフレーションにより、大部分の人たちの生活は圧迫されます。 なぜなら大部分の労働者の賃金は、新興国との競争や機械との競争のために、インフレ率ほど上がらないからです。

辻さんの書き方も、デフレ派にはよくあることなのですが、微妙なすり替えをやっています。
この人は前段では「裕福層の資産が増えた」というレポートを紹介しているのですが、引用部分では「金融資産を持つもの」と何気に変えていますね。
つまり、「金融政策は裕福層だけを富ませる」というストーリーにしたてたいのでしょうが、金融資産を持つのは当然のことながら裕福層に限らず、一般層も持っているわけですから、辻褄合わせが必要になったわけですね。
また、「QEがインフレ率を上げて大部分の人たちの生活を圧迫している」などと、まるで共産党のようなことを仰っておられますが、現在のアメリカのインフレ率は2%足らずしかなく、健全そのものです。
アメリカのインフレ率の推移 - 世界経済のネタ帳
予想インフレ率はむしろ下がっているので、低インフレ率による経済停滞を避けるために、「QEを継続するべきだ」という見解も多々見られます。
アメリカの格差は以前から問題になっていますが、金融緩和をする以前から問題になっていますから、辻さんの論難は事実と整合していません。
そして、「金融緩和が雇用改善に効果がなかった」などと、これまた事実と咬み合わない発言をしていますが、アメリカの失業率は9.6%から7.5%まで約3年で低下しており、遅々としてはいますが着実な成果を挙げています。
むしろ、より強力な金融政策を行うべきでしょう。

このまま、金融緩和を続けたらどうなるのでしょうか? 
現在、アベノミクス実体経済に影響を与えていません。かなり円安に振れましたが、実際、輸出数量は伸びるどころか減少しています。

本日の私のエントリでも書きましたが、アベノミクス実体経済を好転させています。雇用が伸びていますね。
辻さんは「実体経済=輸出数量」という独自の観念をお持ちなのかもしれませんが、為替レート好転による輸出業界への効果は、「受け取りの増加」もあるのですね。だから2月あたりに「輸出業の増益が数千億円」といったニュースが相次いだのです。
輸出数量が伸びなくても、予想以上の通貨安は増益につながります。また、日本の全輸出業界は、ドル円が91円になると黒字を確保できるらしいので、アベノミクスによる円安傾向は継続的にプラス効果をもたらしているといえます。
もうひとつ為替レートに関していえば、通貨安にすると、人々は輸入品よりも国産品に支出する傾向を強めますから、これも景気を刺激します。こちらの効果の方が輸出よりも大きいという説も存在します。
辻さんは、これらのような一般的知識にも疎い状態で、アベノミクスを批判しているようです。

私には、インフレを起こすという目標自体が、そもそも誤っているとしか思えません。 

辻さんがインフレ目標について何も学んでいないことが露呈する一節です。
インフレ目標は、インフレ率を上げること自体を目的にするのではなく、生産と雇用を改善するために行うものです。
生産と雇用が改善した結果、インフレ率が上昇することを目指しているわけで、たとえば消費税を上げてインフレ率を上げても何の意味もありません。
こういった誤解を防ぐためにも、サムナー教授などは「名目GDP目標の方が良い」と言っているわけですが。

参院選が終わり、少し経つ頃には、おかしなことが起きるはずです。金融緩和という物理的に全く何もしない操作で、景気が良くなることはありません。

この人のいう「物理」とは何なのでしょう?
この発言を逆にとると、物理的な操作をすれば景気が良くなるということなのでしょうが、それにしてもその「物理」とは何なのか、まったく不分明な文章であり、おそらく無意味な発言です。
言っている本人にもよくわかっていないのではないでしょうか。
景気を良くする物理的操作って、たとえば企業に銃を突きつけて強制的に投資や消費をさせるとか?
人々から食料を取り上げて輸出にまわし、その人々を強制収容所にほうりこんで無償で労働させてインフラ整備するとか工業生産するとか?
このへん、興味深いので、「景気を良くする物理的操作」についての更なる説明がなされることを希望します。