日銀の政策決定会合、やや不安
予想インフレ率のリアルタイムな観察が出来ないのが非常によくないと思うのですが、3日前の数字だと、1.4%に張り付いていて、円高要因になっていると思われます。
実際に十数兆円も金融緩和していながら、予想インフレ率が下がるという現実を見ると、本で読んで知っていたとはいえ、「予想」の強力さを改めて実感しています。
実際のカネを供給していても、レジームが疑われるとあっという間に予想インフレ率が下がり、円高と株安を招くという事態から、マーケットのパワーを再認識させられます。
黒田総裁の発言を読んでいると、景気回復に伴って金利が上昇するのは自然なことだ、という認識が読み取れはしますが、以下の様な記事を読むと「金利に拘泥した金融政策から離れられないのではないか」という不安を感じざるを得ません。
【今週の債券】長期金利0.8%の下限試す、「シグナルオペ」期間延長観測
6月10日(ブルームバーグ):今週の債券市場で長期金利は0.8%台で低下余地を探る展開が予想されている。日本銀行が資金供給オペの期間延長を決めるとの観測が出ており、金利に低下圧力が掛かりやすいとみられるためだ。
長期金利を下げる有効性、といった問題ではなく、長期金利の上昇を問題視する思想そのものが、市場から疑問視されているのではないか、というのがマーケットマネタリストからの意見です。
マーケットマネタリストの意見が正しいと証明されたわけではありませんが、予想インフレ率が下がる原因が他に見当たらない以上、傾聴するべきかと思います。
長期名目金利を下げるのが、貸出金利を下げるだの住宅ローンを下げるだのという理屈は勿論わかりますが、インフレ率が実際に上がった世の中では名目金利は絶対に上がっているわけですから、長期金利の上昇を問題視するレジームそのものが、市場からは否定的に見られている点がまずいわけですね。
アメリカのQEでも、日本の2000年代の量的緩和でも長期金利は上昇している事実が確認されているわけですから、黒田岩田日銀では、「長期金利は市場が適切に決める。現在の金利で何ら問題はない」という意見を堅持するレジームへと変化してほしいと思います。
レジームが疑われている以上は、実際の金融緩和が効きにくくなる虞れがあるからです。