円安が原因で休漁って本当なのですかね

在の産業用軽油価格は116円くらいで、このレベルになると休漁が頻発するほど危機的なのだそうです。
で、その原因は円安だと。
気になったので、軽油小売価格が116円以上になった時期を調べてみました。

  1. 2008年5月〜10月 最高値146.1円
  2. 2011年 3月 116円

http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/sekiyukakaku/sekiyukakaku1.htm
軽油が今くらいの値段になると、漁師さんたちは休漁か燃料費補償を受けないとやっていけないらしいのです。
為替が原因でね。
漁師さん達は「円安が原因で燃料費が高騰したからカネをくれ」と言っているのですから。
しかし、2011年3月の為替レートは81円です。超円高ですね。
円高なのに、軽油価格が今と同じですね。
2011年は為替レートが79円〜83円という超円高の時期ですが、軽油価格は一年を通じて102円〜116円と高くなっています。
逆に2009年は為替レートが89円〜99円と円安傾向の年ですが、軽油価格は79円〜92円と安くなっています。
USドル/円の為替レートの推移 - 世界経済のネタ帳
おかしいですね。
漁師さん達の主張とはまったく食い違う事実がデータで出てしまっています。
私は思うのですが、まぁ非常に月並みな意見なのですが、軽油の値段は為替だけで左右されるのではなく、日本に入ってくる前のもともとの値段の高低が大きく関係しているのではないのでしょうか。
当たり前すぎて顔が赤くなってしまいますが、それにしても日本の野党やデフレ派やマスコミは、「円安でエネルギー価格があがるぅ」とばかり反復し、彼らは複数のものごとの関係を相対的にみることが一切できないようなのです。
こういう低レベルの嘘でも大量に頻繁に反復するなら、経済に関心の薄い一般国民は、なんとなく信じてしまうでしょう。
このように、経済を深く知ることに興味のない人々に、反リフレーションの印象付けをするのが彼らの目的なのです。
漁師さんたちは残念ながら、おかしな勢力に加担したか、或いは「補償をせしめる良いチャンスだ」と考えてしまったのでしょう。
コメ兼業農家と同じく、働かずに公金をせしめて楽して生きようという誘惑に負けてしまったようです。
リフレーションをすすめる利益の大きさを考えるなら、漁師さん達に適当にカネを払っておとなしくしていてもらうのも悪くはないと思いますが、味をしめてしまうとコメ兼業農家のような、弱者のふりをして声だけでかい既得権益集団を作り出してしまうので、のちのち祟るかもしれません。

2008年以来の休漁???

むぁいにち新聞から。

<一斉休漁>秋田、福岡で 燃料高騰支援求める
毎日新聞 5月25日(土)11時47分配信
アベノミクスに伴う急激な円安による燃料費高騰を受け、秋田県(1800隻)と福岡県(6000隻以上)の漁船が25日、一斉休漁した。燃料高騰を理由にした両県の一斉休漁は2008年以来。
【略】
大会で漁業者4人が「10年前に比べて燃料代が2倍に膨れあがった」「これだけ価格が上がったらどうにもならず、漁をやめる人間もいる」などと窮状を訴えた。

2008年の軽油価格平均は、112.5円でした。この年は休漁。
で、現在までの一年間の平均は109.2円。
このくらいの価格になると仕事が出来ないとおっしゃる。
しかし2011年の平均は108.2円。年間を通した負担は今と余り変わらないですね。
価格の上がり方の急激さを比べてみても、この一年間は15円の変動がありますが、2011年も14円の変動があります。
こちらも大して変わりませんね。
価格の平均も上下動も2011年と今を比べてあまり変わらないのに、2011年に休漁しなかったのは、民主党政権が補償金を出していたからでしょうか?
調べてみましたが、わかりませんでした。
調べているうちに面白いものを発見したのですが、2008年に、当時の福田政権に対して民主党が、「漁船の燃料が高騰しているから助成金を出せ」と主張しているのですね。
http://www.fujisue.net/archives/2010/01/post_646.html
で、漁師さん達は2008年に休漁っと。
なんというか、今と同じ図式になっていませんか。
今回の休漁騒動の背後にまさか民主党がいるなんてことはないでしょうね?

さらに、魚価の低迷も続く。八峰町にある北部総括支所の工藤恭一支所長は「大型連休明けから、魚価がいつもの半値から3分の1まで落ち込んでいて非常に苦しい」と窮状を訴える。

それは採り過ぎなのでしょう。
この面では確かに休漁して補償をもらうほうが良いかもしれません。
円安がどうのと、わかりもしないことをネタにゴネるよりも、「魚が供給過剰だから絞りたい」という理由のほうが正統性があると思います。
魚資源のためにいいことで、環境保護の視点からも賛同が得られるでしょう。
長期的にはむしろ、漁業は縮小したほうが良いのかもしれません。
今は安い魚が海外から購入できますから、日本の漁師さん達には転職していただいて所得を確保、環境的には魚資源の回復、とするべきなのかなと思います。