弱者に対するヘイトを薄めるには?

困者対策に政治家がイマイチ熱心になれない理由に、それが人気のない政策だから、ということが挙げられると思います。
日本は生活保護受給者、ワーキングプア、ホームレスに対する蔑視が非常に強い社会で、それら困窮者に対する救済策にも激しい非難が浴びせられる現状です。
弱者に対する救済、特に生活費を与えるような、カネを意識させるような策には特に激しい反応が返ってきます。
この状況にはいろいろ原因があるのでしょうが、私が思うに、

  1. サービス残業が当たり前になっている。
  2. 休みがとれない
  3. 通勤の苦労が重い

ということがあるような気がします。
単に生活するだけでも、先進国にあるまじき屈辱・苦痛を甘受しなければならないあたりに問題があるのではないでしょうか。
上に挙げたような苦労が少ない職業についている人は、割合と弱者に寛容であるような印象を受けます。
ま、あくまでも印象ですが。
上記の1、2、については、政治家はあまりやりたがらないでしょう。
企業と利害が対立するので面倒くさいですし、日本人は大人しくてデモを起こさないし、選挙でも大した意思表示をしませんから、放置するのが楽な道です。
日本人のおとなしさ、というのは問題のあるおとなしさでして、このおとなしさが弱者に対しても向けられるなら首尾一貫していますが、日本人の場合お上やトラブルを恐れておとなしくする代わりに、その憤懣を弱者にむけ、血眼になって差別するので困ったものです。
こういった非建設的なおとなしさは、15年デフレの継続と無縁ではなかったと私は思います。
正当な不満をしかるべき相手にぶつける、そのために学ぶ、という自発性が日本人にあれば、こうはならなかったでしょう。

弱者への接し方を構造改革しよう

れからの日本はどんどん高齢化していきますから、社会保障関係の問題が膨れ上がっていきます。
アベノミクスによる脱デフレは相当な助けになるだろうと思いますが、それでも問題をこじらせない構造改革を行えば、日本社会はより安定した状態で存続できます。
社会保障関係の構造改革をする際に必要なのは、やはり国民からの支持であります。
今のように、弱者を虐待・侮蔑するのが楽しい、という風潮が広まっているようでは、政治家も積極的に改革できません。
アベノミクスの中に社会保障構造改革が組み込まれ、既得権益との対立も物ともしないで進めていくには、国民自身がそれに納得していなければなりません。
国民が一般的に弱者に対して広い心をもつために、国民の中の一般的生活をしている層の待遇をよくする政策が必要だろうと思います。
サービス残業をやめさせるとか、休日をちゃんととらせるというのは本来なら法律上の義務なのですが、これがなかなかうまくいかないのは、日本人のおとなしさという文化的な要因もあるので、けっこう難題でしょう。
であるなら、通勤の苦労を和らげる政策あたりから取り組むだけでも効果があるでしょう。
通勤ラッシュの緩和法として、電力の利用分散と似た発想ですが、利用する時間帯によって料金を分けるのが良いような気がします。
6時半〜7時、7時半〜8時、8時半〜9時、に定期区間を利用しはじめる人の料金は安くする、というようにすれば、この3つの時間帯に人がバラけるように思うんですよね。
現状では「時差出勤にご協力を」と呼びかけるだけですが、人の自発性や良心に呼びかける方法はダメですね。
何かしら得する面がないと人間は動かないものですから。