通貨安戦争など存在しない

リフレーションを理解していれば「通貨安戦争」など存在しないことはわかりきったことなのですが、経済に疎い人にはわからないように言を左右する「経済評論家」あたりだと、そういった虚妄の概念を振り回してゴマすりに励んだりするわけでございます
私は財務省だのなんだのが絡まない、単に日銀による外債購入をやれば良いとおもいますし、法律上できないなら変えれば良いとおもいます。
日銀による外債購入は金融緩和の手段として行うだけであって、輸出だけが日本経済復興の原動力ではないのですから、為替を動かすことに執着することはありません。緩和すれば自然に動くのですから。
韓国のように輸出に傾斜した経済であれば韓国債を買われることは嫌なことでしょうが、輸出依存度が低く、何らかの意味で自国債を買われたいと思う国もあるかもしれません。
そういう国の債券を買えば良いのであって、買われたくないと向こうが言うなら買わなければ良いでしょう。*1
ただその場合には、「金融緩和をもっとやらなければならないが、為替レートが購買力平価になってしまいました」というときの手も考えなければいけません。
浜田宏一教授が「100円で大丈夫」というからには大丈夫なのだろうと思いますが、過去には130円まで下がったにも関わらずデフレを抜け出すには至らなかった事実もあり、一抹の不安を覚えます。
円がかなり安くなっても、デフレ脱却までには時間がかなりかかるという意味ではないかと思うのです。
その場合、130円の円安を長期間続けるということになりますから、輸出業界からの圧力を受けた諸外国からの批判にさらされる危険はないのか、という点が問題だと思われます。

政政策はどうもダメっぽい

「日銀が金融緩和したカネを元に財政政策をやってデフレを脱却する」という案はリフレ派の著作に登場しますが、今の状況を見ていると財政政策はやめたほうが良いのではないかと思うようになりました。
安倍首相はともかく、自民党も普通の政党ですから私利私欲しか考えない人間や、経済政策がよくわかってない人間が言いたいことを言い合っているような状態に見えます。
金融緩和をベースに財政政策でデフレを脱却、などと言いながら生活保護を減らすのは明らかに矛盾しています。
地方公務員の給与を減らすという案も同じです。
単に減らしたのでは経済に悪影響が出てしまいますから、本当にわかって提案するなら、「給与水準は下げるが、公務員の数は増やす」ということでなければなりません。
期間雇用の公務員であろうとも、給与総額は同じで人数を増やすようにするなら雇用が改善され、オン・ザ・ジョブ・トレーニングができ、若者の経歴に穴があかず、国民への公共サービスが増えるのですから、良いことずくめです。
麻生・石破を中心とする自民党内の性格悪そうな特権階級の言い分は、民主党に負ける以前と同じく、貧しい人や社会的地位の低い人々を軽蔑をこめて足蹴にするような、悪意を発揮したいだけの実効性の薄い、非合理的な提案をしてきていると見えます。
自分たちの生理で政策を決めているのではないかと思うのですよね。

*1:国債がダメならBIG3社債でも買えばよいだろうと思います。実質、政府保証がついていますから安全資産です。