マイルドインフレは全ての人々に恩恵を与える

野田氏が経済政策について無知であることは従来から知っていましたから、今さら馬鹿な発言をしても確認でしかないわけですが、民主党の議員たちが殊更に間違った経済観を言い立てるのは、意図的に誤った認識を日本社会を広めるのが目的です。
自分たちが当選して収奪特権階級として居座る事以外に彼らが望むことは無く、政策についてまともに議論する気など持っていないのです。

「極めて危険」「勘違い」=金融政策で応酬―野田首相と安倍総裁【12衆院選
時事通信 11月25日(日)16時18分配信
【前略】
首相は、日銀に建設国債相当額の国債購入を求める安倍氏の発言を「(金融政策の)具体的方法まで言っており、中央銀行の独立性を損なう。中銀の信用は国の信用だ」と指摘。

中央銀行の独立性とは手段の独立性であり、目的の独立性まで日銀が持っている現状は不適切です。
バーナンキ氏も「中央銀行の独立性は政府か議会が定めるべきだ」と主張しています。

 また自民党政権公約を「単なるインフレ、見せかけの成長だ。お金をいっぱい刷れば景気が良くなるというのは安直過ぎる」と批判した。インフレで喜ぶのは株主や地主で、「一般庶民は関係ない」と言い切った。

これはまた馬鹿なことを「言い切った」ものですが、「単なるインフレ」とはどういうことですか?
「単なるインフレ」という現象は存在しません。
インフレになるだけで、企業が製造を増やさないとしたら、それは怪奇現象です。
利益を増やせる事態を無視する企業が日本中に存在しているとなると、インフレ目標でなくとも、どんな経済政策を実施しても全く無駄です。
そんな状況でどのようにして景気を良くするつもりなのか、ということまで野田氏は言及するべきでした
相変わらず批判・否定をするときだけ元気よく得意げですが、民主党は実効性のある政策を提示することからは逃げ続けます。
野党時代はもちろんのこと、与党になってからも逃げているので日本はこの有様なのです。
そもそも私たちが分かっておかなくてはならないのは、物価と価格は違う、という点です。
経済政策で言うところの「物価」とは私たちの「生計費」、つまり生活費です。
物価が上昇するということは、私たちが生活するのに必要なモノやサービスの値段が全体としてみると上がるということなのですから、それらを生産・提供している企業の利益が上がります。
私たちはそれらの企業に勤めているのですから、マイルドインフレになるということは、我々の所属する会社の利益が増大するということを表しているのです。
野田佳彦の不思議な世界の中では日本国民は「消費者」としてだけ存在し、「働き手」では無いようです。だから「インフレにななっても一般庶民に得はない」という奇妙な発言が出てくるわけです。野田的平行世界で日本国民は全員がニートなのでしょう。
また、「インフレになると金持ちが喜ぶ」というのも真逆の話で、インフレになると金を借りる側が有利になります。金を借りるのは金が足りない企業・個人です。
インフレというのはお金の価値が毎年減っていく現象なのですから、借金の重さも毎年軽くなっていきます。
ということは、企業は何か事業をする際に金を借りた方が得をするのですから、銀行から金を借りようとする動機が強まります。
つまり、インフレが予想されると企業が金を借りて事業を拡大する可能性が高まる故に、実際に景気がよくなっていくのです。
このようなつながりは野田佳彦氏をはじめとした民主党議員には難しすぎるようで、幹部から下っ端までほとんど誰も理解できていません。
だからこそ経済政策についてのお馬鹿発言が連発されるのです。
彼らが馬鹿なだけなら自己責任ですが、間違った経済観を日本社会に広めることによって日本国民の知的水準まで引き下げてしまうので困ります。
知的公害とも言うべき事象です。

日銀は国債などを買い入れる基金を当初の2.6倍の91兆円まで増やす金融緩和を行っている。しかし貸し出しはほとんど伸びず、デフレ脱却には経済成長力の強化も必要との声は根強い。

この部分は時事通信が書いた地の文ですが、日本ではマスコミの知的水準の低さもまた深刻です。
これは大げさでも冗談でもなく、世論や政策に悪影響が及んでいるほどに日本マスコミのレベルは低劣です。
「人から聞いたままにキーボードを打っていれば自分の責任にならず、勉強する必要もなく、単に会社にいってルーティンワークの作文をしていれば給料が貰える」といった程度の意識しか彼らにはないため、一般市民未満の読書量しかありません。
普段の生活でどうでもいいような埋め草記事をやっつけ仕事で仕上げることに矢鱈と時間がかかってしまうような能力しか有しないために、政策判断の材料になるような内容の書物をよむ余裕がないのです。
で、あるからこそ「銀行から貸出が増えなければ景気がよくならない、インフレにならない」とか「経済成長力」という言葉が何を指しているか自分で把握しないままに記事を書くといった無知蒙昧丸出しの言動をとるのです。
上記記事を書いた記者には「ここで書いた経済成長力の中身を説明してみなさい」と言いたいですね。
できないことは確実です。この経済成長力がもし、日銀総裁が言うような「潜在成長力」のことであるなら、それはデフレ脱却とは全然関係ありませんし、デフレ不況の中でそんなものが伸びる筈がないのです。
不況でモノやサービスが売れないのに生産力を強化する企業がどこにあるというのでしょうか。
馬鹿にもほどがあります。