そんなにまで無理やり日銀を擁護する動機が知りたい

コラム:融資によるソフトバンク買収劇、日銀緩和効果の呼び水か
2012年 10月 15日 19:01 JST 記事を印刷する 田巻 一彦
[東京 15日 ロイター] ソフトバンク(9984.T: 株価, ニュース, レポート)が15日、米携帯電話3位のスプリント・ネクステル(S.N: 株価, 企業情報, レポート)を買収すると発表したが、買収資金はメガバンクからの総額1兆6500億円の借り入れで賄うという。
この案件が成功し、巨額の借り入れでM&A(買収・合併)を推進する動きが相次ぐなら、日銀の実施してきた超金融緩和政策がようやく実体経済の拡大に結び付く可能性を高めることになるだろう。

一業界一企業の動きだけで経済全体へ一般化するのは変だと思います。
ソフトバンクが買収を行ったのは一企業として必要性を感じたから実行したのであり、日銀の金融政策とは無関係でしょう。
仮に今が好景気で、日銀が特に「超金融緩和」などを行なっていなかったとしても、ソフトバンクは買収を行ったでしょうね。必要があれば。
日銀に恩義を感じて買収をしたわけではないのですから、上記記事の筆者の言い分は奇妙です。
また、根本的な誤認として、日銀は超金融緩和などしておりません。引き締めをしています。
この記事もまた不自然な日銀擁護を意図しているようです。

市場では、ソフトバンクの今回の合併に対し、批判的な見方が多いようだが、アニマルスピリット(野心的意欲)が企業の経営者から失われれば、金融当局がマネーを潤沢に供給しても、経済の拡大には結びつかない。

不景気の中で巨額買収をするのは確かに変わっているとは思いますが、一般的に言って、不景気の最中には冒険をしない、というのは合理的な判断なので、批判されるようなことではありません。
また、中央銀行がマネーを供給して、それが出まわって経済を良くするという理解は間違いなので改めて欲しいと思います。
中銀の金融緩和が重要なのは、それが人々のインフレ予想を作り出して経済行動を変えるからです。

だが、日銀の超金融緩和策による借入金利の大幅な低下は、社債長期格付けがBBB(S&Pなど)のソフトバンクにとって、ビジネス展開に新しい道を切り開くことになったと言えるだろう。

繰り返しますが日銀は引き締めを行なっており、金融緩和をしておりません。
現在、名目金利は低いですが、デフレが続いているので実質金利は高くなっています。
従って、資金の借入や設備投資には不利な状況が続いています。
だからこそ一般的には借入・設備投資は低調なのです。
ソフトバンクの一例を一般化する論法は不適切です。

このことは、超金融緩和で市場にジャブジャブと資金が余っていても、活用されることがほとんどなかった日本経済の資金の流れを変えるきっかけになるインパクトを秘めていると指摘したい。

ジャブジャブという言葉は金融緩和政策に否定的な人々がよく使う用語ですが、幼児のようでみっともないので使わない方が良いと思います。

日銀の白川方明総裁は今月5日の会見で、「極めて緩和的な金融環境を利用して、活発に投資や支出が行われているかと言うと、残念ながら、そうした状況にはなっていない」と指摘。さらに「何よりも民間企業の積極的なチャレンジが重要」と述べていた。

何でも人のせいにする白川氏の性格がよく表れた発言だと思います。
もう一度繰り返しますが、日銀は引き締めを行なっていますので、金融緩和はまったく不十分です。
名目金利が低くても実質金利が高い状況を放置しているからこそ投資は不活発なのです。
名目金利は金融緩和の指標にはなりません。
日銀はそう主張していますが、間違っています。
例えば高度成長期の金利は5%くらいあったわけですが、ではこの時期には金融引締めが行われていたのでしょうか?
そうではありません。景気が良くて資金を借りる企業が多かったからこそ、結果的に高くなっていたのです。