NHKが視聴率に拘る理由は?

前から疑問だったのですが、なぜNHKが視聴率にこだわるのでしょう?
NHKが受信料を我々から強制的に徴収するのは、それによって浅薄で煩悩まみれで私利私欲丸出しである私たちの人気投票から自由でいて、公共的価値のある放送をするためのはずです。
実際、NHKのサイトを見るとそのように印象づけています。
NHK受信料の窓口-受信料だからできることがたくさんあります。
ここでは「視聴率や採算重視ではできないのです」と書いていて、そのとおりですね、立派ですね、と思うのですが*1大河ドラマについては下記のような記事が頻繁に目につきます。

NHK平清盛』のテコ入れ不調 次回主役のギャラにも影響する?
週刊実話 掲載日時 2012年05月27日 14時00分
 NHK平清盛』の低視聴率が止まらない。
 5月6日放送も13.5%(4月29日は13.9%)と、なかなか上向かない。
 平安時代の再現にこだわり、いまだに画面が汚いのが大きな要因といえよう。
 「たとえば衣装。登場人物の衣装を意図的に汚し、使い古した感じを出した。また、平安時代の埃っぽさを表現しようと、穀物の粉を空間に蒔いたりもした。そのため、清盛役の松山ケンイチが登場すると不潔さだけが目立つ。ハイビジョンなのも悪影響です」(番組制作会社関係者)
 NHKではテコ入れを急いだ。画面を明るくして清潔感を出し、元モーニング娘。高橋愛や『家政婦のミタ』に出ていた中川大志らを出演させる。さらに難解な人間関係をわかりやすくするため、人物登場のテロップを入れる。
【中略】
 「もし10%を切ることがあれば、制作費の大幅カットは間違いなく実行されるでしょう。NHKは今年10月から月120円の受信料の値下げを始める。そのため、向こう3年間で減額分の810億円をひねりだす『プロジェクト810』計画を進めている。そんな大変な時期に、綾瀬のドラマも同じように1本6000万円もかけていいのか、という意見が出ているのです」(NHK関係者)

紅白歌合戦でも視聴率は毎年話題になります。
NHKは受信料を我々から強制的にとっているのですから、人気や採算を気にせずに、文化的に良いと思われるものを制作すればいいではありませんか。
仮にそれが「つまらない」と思われたとして、受信料は法律で強制されているのですから、収入が減る危険性はありません。
NHKの番組がつまらなさすぎて「受信料なんか払いたくない*2」と視聴者の多くが考えたとしても、それが法改正にまでつながる可能性は現実的にいって殆どないでしょう。
日本では原発事故を起こした東電を救済する法律ができても大半の人は無関心ですし*3、経済に大ダメージを与えることが歴史上わかっている消費増税法案に賛成する人が相当数いますし、経済環境の悪化で収入が減り、勤め先が減り、格差が拡大して結婚・子育てがままならず、自動車や家を買うといった消費生活がまともにできないような状況に追いやられていても若者たちは投票に行きません。つまり政治に影響を与えようなどと思わないのです。
ですから、NHKは安心して、独自の価値観に従って番組づくりを行うべきなんですね。
つまらんと言われようが通念と違うと言われようが気にせず大河ドラマを作らなければならず、そうでなくては逆に受信料を強制的に徴収する制度の底にある理念が疑わしいものになってしまいます。
番組作りに際しては、面白さに必ずしもこだわらないで公共性やリアリティにそって内容を決めるべきですし、人気や知名度とは関係なく人材を登用するべきでしょう。
それが例えば私の価値観に合わなければ見ないだけですし、私やその他の人々が見なくてもNHKの存続や職員の待遇には全く無関係なのですから。
私はテレビを所有しておりませんが、「平清盛」という大河ドラマがあまりにも不評なので、むしろ関心が湧いてきたくらいです。

*1:しかしNHK職員が一般サラリーマンの3倍とか5倍とかの収入を得る正当性や、それを我々が強制的に負担しなくてはならない理由が全然わかりませんが。

*2:とんねるず石橋貴明はラジオで「自分は受信料を払ったことがない」と紅白歌合戦に出場した時期に発言したことがありますが、それをNHKが問題視した形跡はないので、NHK自身、受信料がとれるかどうかについて大して気にしていないはず

*3:原発反対運動をしている政党・政治家・芸能人・専門家でさえ何故か。