バーナンキ氏の日銀への見方は変わらず。

日銀自身は『我々の政策枠組みはFRB』と同じなどと言っていますが、やんわり上品に「違いますえ」とはねつけられた格好。
FRBが日銀に追いついてきた』などと失礼な発言を繰り返してきたのですから、この辺で言い返されても仕方ないですね。
強調して引用しておきますが、

当時、私は日銀の金融政策に関連して2つの点について見解を述べた。1つは、確固とした意志を持つ中央銀行はデフレをなくすための政策を実施する必要があるということ。2つ目が、短期金利がゼロになっても中央銀行は金融緩和を実施することができるということだ。

この内容はとても大事です。何故なら、

と言っているのですから、これは日本の政治家・官僚・日銀が流しているデマとは正反対の内容です。
実際にアメリカはデフレを回避していますし、景気回復も徐々に進んでいます。回復の足取りが鈍っているようですから、量的緩和3があるかもしれませんね。
そうなると政府と日銀が無策の日本では、円高が亢進してしまいますし、そうなると反米さんたちが又も騒ぎ出すのでしょうね…
まぁ取り敢えず毎日新聞バーナンキ発言について何かコメントを出すべきでしょうね。こんなこと言っていましたし。

社説:追加金融緩和 試される日銀の独立性
中央銀行政策金利をいったんゼロ近辺まで下げると、その先は有効な景気刺激の手だてが基本的にないことを、私たちは指摘してきた。

「私たちは指摘してきた」とかカッコつけて言っていますが、根拠を理解しているわけではないでしょう。だって毎日新聞だもの。
自分たちの独自の見解のように見せかけていますけど、『流動性の罠』概念のパクリでしょ、これ。しかも正確なものか怪しいものだしね。
日銀が模範と仰ぐFRBから正式に否定された考え方を広く全国に垂れ流した毎日新聞が整合性のかけらもなく日銀に媚びへつらう姿は無様極まりないですね。

FRB議長会見(1)ゼロ金利継続、判断の指針を検討
2012/4/26 7:59 日経
【ニューヨーク=伴百江】バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は25日の記者会見で、多少のインフレをまねいても失業率を低下させるために追加緩和を正当化できるかについて「それは非常に無謀なこと」と述べた。また、ゼロ金利政策継続を判断するため「量的な指針を示せるか検討している」と明らかにした。詳報は以下の通り。

QE3(量的緩和第3弾)の可能性について

 FOMCはすでに大胆な金融緩和を実施してきた。08年以降、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標をゼロに近い水準に設定。2回にわたり量的緩和も実施した。ツイストオペに加え、ゼロ金利政策を少なくとも14年まで実施するという指針も示した。その意味で我々の金融政策はかなり緩いものだ。必要なら一段緩和の用意はできている。コストとリスクを見極めながら、バランスをもった政策を実行できるよう準備している。これらの手段は引き続き議論しており、必要な場合はためらわずに使う。

インフレ見通しについて

 我々のインフレ目標は依然として2%だが、(食料とエネルギーを除いた)コア・インフレ率や他のインフレ指標がこのところ多少予想を上回っている。ただ、物価上昇は一時的な特殊要因から来るものが目立つ。商品価格などは比較的安定しており、インフレは目標水準の2%かそれよりやや低い水準で推移するとみられる。最近のガソリン価格の上昇は一時的にインフレ率を押し上げるが、石油危機などがないことを前提にすれば、今年後半にはインフレ率は再び2%前後に落ち着くだろう。

利上げに踏み切るタイミングについて

 メンバーが9対1で合意した政策スタンスは極めて緩和に傾いている状態だ。ただし、FF金利の誘導水準の指針はあくまでも条件付きであり、もし景気が予想よりも強くなればそれに対応する必要がある。どれだけ景気の弱さを裏付ける材料があればゼロ金利政策を続けるのかという疑問については、FOMCはもう少し明確な量的な金融政策の指針を示せるよう検討しているところだ。それまでは景気動向を引き続き注視し、失業率が我々の目標水準まで低下するかどうかなど景気回復が続いているかを見極める。必要なら失業率の一段の低下のために量的緩和をする用意がある。

個々のFOMCメンバーと全体の見通しのズレについて

 FOMCメンバーそれぞれの見解には幅があるが、14年までゼロ金利を維持するという指針は、政策メンバーがその効果とリスクを踏まえた上で合意に達したものであり、適切なものだと考える。もし景気見通しで大きな変更があれば、指針はそれに沿って修正する。しかし、現時点で政策メンバーはこの指針に対し異存はない。
 全体の指針は各メンバー個人の意見が反映されているものだ。今後、政策決定のプロセスをより開かれたものにするよう様々なやり方を検討しているので、期待してほしい。

学者時代の見解と現在の姿勢の差について

 日銀の政策について15年前に私が示した見解は現在の自分の見解と異なるとの批判を受けるがそれはまったく間違いだ。今の金融政策は15年前に示した見解と首尾一貫している。当時、私は日銀の金融政策に関連して2つの点について見解を述べた。1つは、確固とした意志を持つ中央銀行はデフレをなくすための政策を実施する必要があるということ。2つ目が、短期金利がゼロになっても中央銀行は金融緩和を実施することができるということだ。
 米国では2010年の終盤にはデフレのリスクが多少あったものの、(量的緩和をつかった)バランスシートの調整により目標の2%にインフレ率を近づけることができたおかげで、現在の米国にはデフレはない。15年前の日本と今の米国の決定的な違いは、日本はデフレで、デフレとリセッション下ではさらなるデフレを招くという状況だった。
 現在の米国で追加緩和は必要かどうかは、失業率の低下を早めるために多少のインフレをまねいても追加緩和を正当化すべきかどうかを問うことになる。FOMCは、それは非常に無謀なことという見解を持っている。我々FRBは過去30年間にわたり、安定的で低水準の物価上昇率を維持することで信頼を獲得してきた。過去4〜5年間にわたる金融政策も不安定な物価上昇を招くことなく積極的な緩和を実施することができた。一時的な効果を狙う緩和によって、我々のそうした財産をリスクにさらすのは愚かなことだ。

来年初に減税の打ち切りや歳出削減が始まる「財政の崖」問題について

 何の政策も導入されなければ、FRBがどんな金融政策を講じても効果のないほどの景気悪化を招くことになる。それだけに議会は2つの目標を達成するために対策を講じる必要がある。1つが、長期的に持ちこたえられる財政予算の構築。もう1つが、短期的な景気回復に打撃を与えないようにすることだ。

足元は景気拡大が速まると見る一方、経済見通しで13、14年の予測を下方修正した

 金融緩和の効果で、13年は12年よりは景気が拡大するし、14年はさらに拡大するとはみている。ただ、住宅市場の低迷や貸し渋りなどが引き続き逆風となっている。経済見通しを下方修正したのは、財政赤字拡大が響くと見られるからだ。