経済成長させることこそ責任。

自民党が言っていることはスジが違う。

自民党、消費税率10%を明記
2012年4月9日 14:27
 自民党は9日、次期衆院選マニフェスト政権公約)の原案を発表した。2010年参院選公約に続き、現行5%の消費税を「当面10%」に引き上げると明記。財政を安定させ、持続可能な社会保障制度の確立を目指す。自民党が税率10%を明示したことで、野田佳彦首相が政治生命を懸ける消費増税関連法案の審議にも影響しそうだ。
 消費税が衆院選の争点となるか不透明なため、原案の前段階の素案では明記を見送った。しかし先の参院選でいち早く10%を掲げた自民党の責任ある姿勢をアピールする狙いから復活させた。

このような言い方をすると「国民が嫌がるであろう増税でも必要なら行うのが責任」というロジックになるが、こういう言い回しは唯々諾々と聞くのではなく、検討を加えながら理解して、微妙な論理のすり替えに気づかなくてはならない。
必要なのは財政を安定させることである。
そして、財政を安定させるには増税だけではなく経済成長させる方法もある。となれば、「責任ある姿勢」とは増税することではなく経済成長させることに腐心することであってもおかしくない。
代替的な考え方が本当はあるにも関わらず、選択肢を最初から一つしか示さずに、聞き手の考える筋道をいつのまにか限定してしまうような語り口は大変危険なやり方だと思う。
「経済成長させろ」という声に対しては、政治家・ある種のジャーナリスト・ある種の思想家・ある種の評論家は、「経済成長には価値がない」とか「経済成長させることは出来ない」と何故か足並み揃えて言い出すわけだが、いずれも虚言である。
経済成長しなければ、現在困窮している人々を救うことはできない。AKB48に画面の向こうから「気にかけられて」も何の役にも立たない。「経済成長には価値がない」という言説は、現在困窮している人々に対して「諦めて死ね」と言っているに等しいし、恐らくそれが本音だろう。
また、「経済成長させることは出来ない」という主張もでまかせである。「日本経済が成熟して成長しなくなるのは時代の流れだから、経済成長に代わる考え方が必要。」という言説は、170年ほど前にドイツの変なおっさんが言っていた話の変奏である。つまり偽装なんとかという奴。
日本がこの20年経済成長しなかったのは失政の結果であり、政治家や日銀が「経済成長には価値がない」とか「経済成長はもうできない」というのは単なる責任逃れである。
その証拠に日本よりも早期に成熟したアメリカでは最近まで経済成長が続いていたし、このまま順調に行けば経済が復調して再び成長を開始するだろう。
このような話題を考える時には「根拠が知りたい」と思うだろう。
そういう時にはグーグルで「名目GDP」と検索し、「国内総生産、日本」という結果をクリックするとグラフが出てくる。そしてそのグラフには各国の統計を付け加えることのできるチェック欄も表示される。GDPに限らず、様々な統計を検索できるので便利である。ただし、情報は1年ほど古いので、最新統計を知りたい場合には「世界国勢図会」を書店で買うと良い。2800円ほどである。
ちなみに経済成長の話題を考える時には名目GDPに注目する。実質GDPではない。名目GDPは日本の企業や個人の収入の合計とほぼ同じものだ。名目GDPが下がるということは、日本の企業や個人の収入が下がるということであり、誰かが失職していたり、給料が下がっていたりすることを含んでいる。